日本では2007年秋に劇場公開された『ストレンヂア -無皇刃譚-』が、1月27日から2月1日までイタリア・ボローニャで開催された映画祭第11回フューチャー・フィルム・フェスティバル(Future Film Festival:FFF)で審査員特別賞(Menzione speciale)を獲得した。 FFFはアニメーションと特殊効果を多用した映画に特化した、ユニークな特長を持つ映画祭である。作品の内容と同時に、映像表現の革新性を追及する。現在ではイタリアの主要な映画祭のひとつとみなされている。
今年の映画祭には、『ストレンヂア』を含み全10作品が公式出品されている。日本からは『パコと魔法の絵本』、『20世紀少年 第1章』も出品されたほか、アニメーションでは『From Inside』、『Idiots and Angels』、『Sita Sings the Blues』といった既に他の映画祭の受賞歴のある海外の有力作が並んだ。 こうしたなか今回『ストレンヂア』は、時代劇というテーマを2Dアニメーションで表現しきった手腕と演出力が高く評価された。FFFでの日本アニメの審査員特別賞受賞は、昨年の『鉄コン筋クリート』(マイケル・アリアス監督)に続くものである。 昨年は『秒速5センチメートル』(新海誠監督)がグランプリに選ばれており、主要な2部門を日本アニメが独占をして話題を呼んだ。これに続く『ストレンヂア』の審査員特別賞の獲得は、アニメーション映画や特殊効果映画のジャンルにおける日本の存在感を示した。
グランプリにあたるランチア・プラチナ・グランプリ(Lancia Platinum Grand Prize)には、アルゼンチンの『Martin Fierro – The Movie』が選ばれている。こちらは19世紀にアルゼンチンに実在した英雄を2Dアニメーションで描いている。 受賞2作品は共に2Dアニメーション、歴史物という結果になっている。特に、最先端の映像を求める場所であるだけに興味深い現象である。