『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:序』は、昨年秋に公開された『新世紀エヴァンゲリオン』の映画化作品、国内では東京アニメアワードのアニメション・オブ・ザ・イヤーなど数々の賞に輝く、国際舞台で活躍が期待される。『Genius Party』は、この秋からパート2にあたる『Genius Party Beyond』が公開される。海外での受けのいい作品である。 気になるのは『FREEDOM』である。本来はOVAシリーズで製作された7巻からなる作品だからだ。作品のクオリティとしては劇場級だが、必ずしも長編アニメーションの体裁を取っていない。 しかし、シッチェスの公式上映スケジュールをみると、2回の上映時間はそれぞれ4時間近くとなっている。どうやら1巻から7巻までをまとめて劇場映画としたようだ。これまで映画作品として評価されたことがないだけに、シッチェスでの『FREEDOM』への評価が気になるところだ。
同部門では今年も日本のアニメの活躍が期待されるが、他の出品作も実力派揃いだ。『SITA SINGS THE BLUES』は、アヌシー国際映画祭のグランプリとベルリン国際映画祭審査員特別賞の受賞作品、『IDIOTS AND ANGELS』はアヌシーの審査員特別賞、さらに『TERRA』はオタワ国際アニメーション映画祭のグランプリとアニメーション映画祭で実績を重ねた作品ばかりである。 アート色の強い米国の作品とエンタテイメント色の強い日本の作品がぶつかる面白い構造となる。
アニメ映画では押井守監督の『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』がアニメーション部門でなく、メイン部門となるオフィシャル長編映画部門に出品されている。同部門では三池崇史監督の『クローズ ゼロ』も上映される。 このほかシッチェスでは、『神様パズル』や『20世紀少年』、『ICHI』など多くの日本作品が、各部門に出品されている。ジャンル映画と呼ばれるマニア向けのエンタテイメント作品のなかでの日本の存在感を感じさせる。