世界4大アニメーション映画祭のひとつオタワ国際アニメーション映画祭は、今年の公式出品作を発表した。出品にあたっては世界73カ国から2077作品の応募があった。 このうち長編アニメーション3作品、短編アニメーション94作品、それに加えて「ショーケース」のかたちで31作品が紹介される。応募作品が公式出品作に選ばれるためにはかなり厳しい競争となっている。 オタワ国際アニメーション映画祭は、北米最大のアニメーション映画祭で、今年は9月19日から23日まで開催される。 また4大映画祭のなかでは、学生部門に力を入れていることで知られている。しかし逆に、長編アニメーション部門は他の映画祭に較べて規模が小さい。 今回、日本からは合計8作品が公式出品に選ばれている。なかでも商業映画の部門の3作品が最も多かった。商業作品の得意な日本のアニメーションらしくはあるが、その作品の中身は3者3様である。 中澤一登さん(プロダクションI.G)による資生堂のコマーシャル『ASIENCE~髪は女の命』、山村浩二さんが環境保護団体グリンピースから委託を受けて制作した『校長先生とクジラ』、それにインディーズ音楽アーティストOOIOOのために後藤章治さんが監督した『UMO』である。山村浩二さんは、インディーズ短編映画部門でも『カフカ 田舎医者』を出品している。 さらに富岡聡さん(カナバン・グラフィック)が、インターネット・アニメーション部門で『Exit 2』、大人向けテレビアニメーション部門で『ウサビッチ 第1話』の2作品をノミネートさせているのが注目である。 残り2作品は、昨年に続き実験アニメーション部門でノミネートされたナガタタケシさん、モンノカヅエさんの『PIKA PIKA2007』と『ノラビッツ ミニッツ 第4話』で子ども向けアニメーションのノミネートになった伊藤有壱さん(I.TOON)であった。 ノミネートされたアーティストは国内でも名の知れた人ばかりで、やや新鮮味が薄いが、逆に言えば相当の実力がなければオタワの公式出品作には選ばれないということだろう。 今回の注目は、中澤一登さんの『ASIENCE~髪は女の命』である。大手のアニメスタジオの作品がオタワで上映されることはこれまであまりなかったからである。 プロダクション I.Gは、以前から自社制作アニメーションの国際映画祭への出品に熱心な会社である。最近は長編アニメーションに加えて、短編アニメーションの出品にも力を入れている。昨年はオランダアニメーション国際映画祭で、CMアニメ『KIRIN LEMON BLACK モンスターブラックス 逆襲 篇』がCM部門の大賞を受賞している。 同じ商業アニメーションでもあっても、コマーシャルやプロモーション映像は、映像的な効果が重要なことが多く、長編アニメーションより自由な発想も可能である。 また、若手クリエイターの登用も、長編アニメーションより行い易い。アニメーション映画祭は、こうした隠れた傑作を観る場所としても機能している。オタワ国際アニメーション映画祭 /http://ottawa.awn.com/《日本からのノミネート作品》インターネツト向け短編アニメーション部門『Exit 2』 富岡聡インディーズ短編アニメーション部門『カフカ 田舎医者』 山村浩二実験アニメーション部門『PIKA PIKA2007』 ナガタタケシ モンノカヅエ 商業アニメーション部門(プロモーション・アニメーション)『ASIENCE~髪は女の命』 中澤一登『校長先生とクジラ』 山村浩二商業アニメーション部門(ミュージックビデオ)OOIOO『UMO』 後藤章治大人のためのTVアニメーション部門『ウサビッチ 第1話』 富岡聡子どものための映画/ビデオ部門『ノラビッツ ミニッツ 第4話』 伊藤有壱
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