米国で日本マンガ『こどものじかん』の翻訳出版を予定していたセブンシーズ・エンタテイメントが、作品の出版中止を行ったことが現地で大きなニュースとなっている。『こどものじかん』は私屋カヲルさんの人気マンガで、小学校の新任教師と小学生3年生の美少女りんを巡る物語である。 セブンシーズ・エンタテイメントは、出版中止の理由について明確にしていない。しかし、現地では同社の翻訳出版ライセンス獲得時から、物語の中心となる教師と小学生の関係に対して多くのファンから米国で発売するには相応しくない内容ではないかとの懸念が挙がっていた。 また今回の販売中止について米国の業界サイトの多くが、こうしたテーマが出版中止の原因と指摘している。 セブンシーズ・エンタテイメントは、米国のマンガ出版の中堅会社のひとつで『ブギーポップは笑わない』や『かしまし ~ガール・ミーツ・ガール~』、『これが私の御主人様』などの作品を出版している。また、日本のライトノベルの翻訳出版も手がけている。米国の中堅マンガ出版社の多くがそうであるようにニッチ市場をターゲットにし、特に美少女が登場する男性向けマンガ路線が明確になっている。 今回の『こどものじかん』のライセンス獲得も、こうした同社のラインナップを踏襲したものと考えられる。『こどものじかん』も含めた作品群はポルノ作品や所謂エロマンガとは異なるが、こうした微妙な路線が今回は裏目に出たといえるだろう。 近年、日本のマンガは、北米やヨーロッパでの出版が拡大している。しかし、日本マンガの現地での存在感が高まるに連れて、日本との価値観の相違による摩擦の発生が懸念され始めている。 特にボーイズラブなどの男性同士の恋愛を扱ったものや性表現、暴力表現などにそうした可能性がある。実際にこれまでも、図書館から一部のマンガが撤去されるなどのケースが出ている。 こうした懸念からセブンシーズ・エンタテイメントは、事前の販売中止に踏み切ったものと考えられる。 しかし、北米でのマンガ市場の競争は激化している。中小出版社はそうした競争を勝ち抜くために男性向け、女性向けを問わず、よりキワドイ内容の作品出版に向かいがちである。今回は出版社による事前の発売中止となったが、今後もこうしたマンガ表現の考え方の違いが大きな摩擦に発展する可能性は少なくない。参考記事英語で!アニメ・マンガ /http://d.hatena.ne.jp/ceena/ /『こどものじかん』北米版、発売中止決定。 /私屋カヲル氏の『こどものじかん』、内容に対する非難を受けてアメリカでの発売延期。ICv2 /http://www.icv2.com /Seven Seas Kills 'Nymphet'アニメニューズネットワーク /http://www.animenewsnetwork.com/ /Seven Seas Entertainment Talks about Nymphet/Seven Seas Entertainment gomanga.com
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