「ポケットモンスター」シリーズの“隠れがちな名作”を紹介【映画公開記念】 | アニメ!アニメ!

「ポケットモンスター」シリーズの“隠れがちな名作”を紹介【映画公開記念】

1996年にゲームボーイ向けソフトとして産声を上げた『ポケットモンスター(以下『ポケモン』)』シリーズ。
主人公はポケモントレーナーとして旅に出て、不思議な生き物“ポケモン”とともに成長していく。

ニュース
注目記事
1996年にゲームボーイ向けソフトとして産声を上げた『ポケットモンスター(以下『ポケモン』)』シリーズ。
主人公はポケモントレーナーとして旅に出て、不思議な生き物“ポケモン”とともに成長していく。その過程では多彩なポケモンを捕まえポケモン図鑑を完成させたり、ポケモンを育成して対戦したりと、楽しみ方もさまざまだ。
そんなバリエーション豊かな楽しみ方が受け、日本はもちろん全世界で瞬く間に人気が爆発。20年以上が経った今なお世界中で愛されている。

そして『ポケモン』といえば、数々のメディア展開も忘れてはならない。アニメに始まりトレーディングカードゲーム、コミック、テレビ番組にスマートフォンアプリと数え始めたらキリがない。
特にアニメは1997年の放送開始から20周年を迎え、劇場版最新作『ポケットモンスター キミにきめた!』の公開も控えている。サトシとピカチュウの出会いを描くストーリーには、大人になった往年のファンからも熱く注目されている。
そこで今回は、『ポケモン』シリーズの多彩なラインナップの中から、隠れがちな名作を紹介する。

『ポケモンカードGB』
初代『ポケモン』と同じ年に生まれたトレーディングカードゲーム(TCG)「ポケモンカードゲーム」。これをゲームボーイで楽しめるようにしたのが『ポケモンカードGB』だ。
本作は『ポケモン』本編と同じようにさまざまな街をめぐり、各地のキャラクターとカード対戦を行う。街には特定の属性のカードを使用するクラブがあったり、貴重な「伝説のカード」が存在したりと、本編を意識した設定もそこかしこに見受けられる。
また通信機能を使ったカードの交換や対戦にも対応。カードゲームでありながら、紛れもなく『ポケモン』の遺伝子を持つゲームであった。

本来TCGはカードの入ったパックをいくつも買い、理想のデッキを組めるまで集める必要がある。しかし本作は1本のゲームですべてのカードを使用できるため、筆者を含めた当時の子供には大きな魅力だった。
なお、本作はヴァーチャルコンソールという形でニンテンドー3DSでも楽しむことができる。発売時期の都合上、収録されているカードは最初期のバージョンのみとなっているが、それでも魅力は色褪せていない。

『ポケモンスナップ』
1999年3月21日にNINTENDO64向けのソフトとして発売された『ポケモンスナップ』は、「ポケモンアイランド」と呼ばれる島で野生ポケモンの撮影を楽しむカメラアクションゲームだ。
プレイヤーは主人公のトオルとなり、「ゼロワン号」という乗り物に乗ってポケモンを撮影することになる。ゼロワン号は自動で移動してしまうため、プレイヤーは数少ないシャッターチャンスを的確に掴んでいく必要がある。またポケモンをただ撮影するだけでなく、しっかりと正面を向いた瞬間に撮ること、できるだけ近くに来た瞬間に撮ることも大切だ。

NINTENDO64の『ポケモン』といえば、他にも対戦にフォーカスを当てた『ポケモンスタジアム』、ピカチュウとのコミュニケーションを楽しめる『ピカチュウげんきでちゅう』があった。
その中で『ポケモンスナップ』は、あらゆるポケモンの仕草、さらには生態系までを垣間見ることが可能だ。撮影の楽しさもさることながら、新たなポケモンの一面が分かることも本作の評価が高い理由のひとつだろう。

『ポケモン+ノブナガの野望』
『ポケモン』と、コーエーテクモゲームスの人気シリーズ『信長の野望』のコラボという異色の作品『ポケモン+ノブナガの野望』。
本作は戦国時代をベースにしながら、ところどころにSFの要素も加わった独自の世界を舞台に、各地を納めるブショーと、そのパートナーであるポケモンに勝負を挑んでいく。

ゲームシステムはお互いに最大6人のブショーが、ポケモンを1匹ずつ繰り出すシミュレーションRPGとなっている。『ポケモン』とも『信長の野望』とも違う仕上がりで、当時のファンに驚きを与えた。その一方でポケモンが使うわざやタイプ相性、特性など“らしさ”も随所に見られる。
『ポケモン』と『信長の野望』は一見して世代もファン層も異なるように感じられるが、だからこそ、これまでにありそうでなかったゲームが生まれたとも言えるだろう。それでいてゲームとしての難易度は決して高くなく、誰でも楽しめるあたりにもこだわりが見受けられた。

『ポケモンピクロス』
本稿で紹介するゲームの中ではもっとも新しい作品である『ポケモンピクロス』。2015年12月、ニンテンドー3DSのダウンロード専用ソフトとしてリリースされたパズルゲームだ。
基本的なルールは縦と横の数字をヒントに盤面のマスをぬり、隠されたイラストを完成させる、いわゆる「お絵かきロジック」である。ゲームに限らず雑誌や書籍でもおなじみのパズルなので、知っている人も多いだろう。

『ポケモンピクロス』の独自性といえば、まずは完成する絵がさまざまなポケモンになることが挙げられる。盤面の大きさも多彩で、進化前のポケモンだと小さめで簡単にクリアできる。逆に伝説のポケモンだと盤面はかなりの大きさになり、慣れている人でも一筋縄ではいかない。

ポケモンのイラストを完成させると、イラストのポケモンをゲットできる。そして手に入れたポケモンは、次のパズルで手助けしてくれるのだ。
例えばイーブイを仲間にすると、「ライジングボム」というスキルを使って一部の盤面を開いてくれる。そのほかにもミスを修正してくれたり、ヒントを出してくれたりと、ポケモンによって違ったサポートを見せる。
これにより初心者でも気軽に楽しめるだけでなく、ポケモンを駆使して早解きするという新しい遊び方も生まれた。

『ポケットモンスターSPECIAL』
1997年、小学館の学習雑誌で連載がスタートした『ポケットモンスターSPECIAL』。今なお連載が続いているし、熱狂的なファンも多いだけに“隠れた名作”の中に加えるのは迷ったが、だからといって『ポケモン』のスピンオフを語る上で外すのも難しいだろう。

本作はゲームとも、そしてアニメとも違うオリジナルストーリーが展開するコミック作品だ。ストーリーのベースとなっているのはゲーム版だが、よりドラマ性、キャラクターの個性を表現することに重きを置いている。
ゲーム中のジムリーダーや四天王が明確な悪役として登場したり、ときには凄惨な表現も厭わなかったりと、学習雑誌発のコミックとは思えない展開も随所に見られる。そんな『ポケモン』らしくないところが、20年にわたって支持されてきた理由のひとつでもある。
今からすべてのストーリーを追いかけるのはさすがに時間がかかるものの、「もうひとつのポケモン」として、読んで損はない作品だ。

『ポケットモンスター THE ORIGIN』
ちょうどニンテンドー3DS初となるシリーズ作品『ポケットモンスター X・Y』発売を間近に控えたタイミングで放送されたのが、オリジナルアニメ『ポケットモンスター THE ORIGIN』だ。

本作は初代『赤・緑』のストーリーを元に制作された作品であり、サトシとピカチュウがメインのTVアニメシリーズとはまったく異なる。主人公・レッドのパートナーはヒトカゲ、またライバル・グリーンのパートナーはゼニガメだった。
アニメの中ではゲーム内のセリフやバトルが忠実に再現され、オリジナル版を知る往年のファンを大いに盛り上げた。一方でアニメの終盤にはヒトカゲの進化系であるリザードンがメガシンカを果たすという、当時最新のトレンドも取り入れていた。
また自ら言葉を発することのなかったゲームの主人公に声がつき、ドット絵で表現されていた世界は色鮮やかに変貌を遂げた。これだけでも新鮮な驚きがあったことをよく覚えている。

時を同じくして発売された『X・Y』は、シリーズ初の3D作品として世に送り出され、『ポケモン』の新時代を象徴する作品となった。そんなときだから、原点を振り返る『ポケットモンスター THE ORIGIN』にも重要な意味があったと思う。

『ポケモンジェネレーションズ』
『ポケモンジェネレーションズ』は2016年にYouTube上で公開された、オリジナルWebアニメだ。元々は海外で先に公開され、それが日本に逆輸入されるという珍しい展開を見せた作品である。

ストーリーは上述の『ポケットモンスター THE ORIGIN』と同じくゲーム版がベースになっているが最大の違いは『赤・緑』から『X・Y』までのエピソードを満遍なく網羅している点だ。
『金・銀』におけるやけた塔の伝説や、『ダイヤモンド・パール』のギンガ団との戦い、『ブラック・ホワイト』の主要キャラクターであるNとゲーチスの関係性など、『ポケモン』の世界を語る上で欠かせないエピソードがすべて映像化されている。

全18話構成となっているが、そのどれもが長くても5分程度とコンパクトにまとまっているのは大きな特徴。もちろんYouTubeという特性上、いつでも手軽に視聴できるのも魅力だ。今回紹介したゲーム、コミック、アニメの中でも、もっとも簡単に楽しめる作品である。

以上が、筆者が選んだ多くの人に知ってもらいたい『ポケモン』スピンオフ作品だ。『ポケモン』は膨大な数の関連作品が存在し、しかもそれぞれで違ったファン層を持つ珍しいコンテンツだ。そのため、この記事を読んだ人の中には「なんであの作品が入っていないんだ!」と思う人だっているかもしれない。とはいえ筆者はそういう人がいてもいいと思っている。ひとつに絞ることなんてできないのが、『ポケモン』最大の魅力なのだから。
《ユマ》
【注目の記事】[PR]