劇場版「黒執事」小野大輔インタビュー 「シエルとセバスチャンは2人でひとつ。そのスタートを演じられたことがうれしい」 | アニメ!アニメ!

劇場版「黒執事」小野大輔インタビュー 「シエルとセバスチャンは2人でひとつ。そのスタートを演じられたことがうれしい」

シリーズ初の劇場版アニメ『黒執事 Book of the Atlantic』がいよいよ公開。セバスチャン役の声優の小野大輔に、改めて『黒執事』、そして8年に渡り演じ続けているセバスチャンについて話しをうかがった。

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19世紀末のイギリスを舞台に、悪魔のセバスチャンと契約を交わした少年シエル・ファントムハイヴ伯爵。女王の命により裏社会で起こる恐ろしい事件を解決していく、今も原作の連載が続く大人気コミックの、アニメ化作品『黒執事』。テレビシリーズはこれまでに3作が放送され、OVAも制作されている。アニメ開始から8年、いよいよ初の劇場版アニメ『黒執事 Book of the Atlantic』となってスクリーンにお目見えした。

主人公セバスチャンを8年に渡り演じ続けているのが、声優の小野大輔。人間の感情が理解できない悪魔を演じ続けてきた小野だが、この劇場版でのセバスチャンは「ご褒美のよう」に感じたという。ストーリーは、原作で単行本4巻に渡って描かれた「豪華客船編」。主要キャラクターが集い、それぞれに見せ場がある、『黒執事』世界の中でもスペシャルなエピソードだ。この劇場版は小野にとっても、セバスチャンの新たな一面を知るスペシャルな機会となったようだ。
[取材・構成:大曲智子]

『黒執事 Book of the Atlantic』
http://www.kuroshitsuji-movie.com/

■セバスチャンが初めて抑制を解く物語

――原作でも人気の高い「豪華客船編」のアニメ化、しかも『黒執事』初の劇場版アニメ化となりました。

小野大輔(以下、小野)
「豪華客船編」は、『黒執事』ファンのみなさんが本当に待ち望んでいたエピソードだと思います。「豪華客船編」という名の通り、とてもスケールが大きいストーリー。『黒執事』が持つ、ホラーにアクション、コメディの部分などすべての要素が詰め込まれている。この1本を見れば『黒執事』の魅力がすべてわかるといっても過言ではないような、そんな“全部盛り”なストーリー。それを劇場版として公開できるということが、一演者としても、作品の一ファンとしても、とてもうれしく思っていますね。

――今回のセバスチャンは余裕のない必死の形相で戦うなど、今までとは違う表情を見せます。アニメ開始当初は感情を置いてくる演技をされていたそうですが、今回のセバスチャンはどのように演じられたのでしょう?

小野
阿部記之監督が音響監督も務められたんですが、今回のセバスチャンを演じるにあたり、「これまでは極力、感情表現をしないよう演じてもらったけど、今回は存分に熱量を乗せてください」と言ってくれました。それは阿部監督の思いでもあり、枢やな先生の思いでもあったんです。今回は葬儀屋(アンダーテイカー)という強大な敵が現れ、セバスチャンもピンチに陥ります。息が上がり、感情があらわになる。8年演じてきた中でずっと抑えてきたものを、「逆に出してください」と言ってもらえた。それって僕にとってはご褒美のような感覚でしたね。これまでずっと演者として乗せたくなる部分を乗せずにやってきた。スタッフのみなさんと築いてきた絆や、作品の重みを土台にしながら、ようやく「感情を乗せてください」って言ってもらえたことが、本当に嬉しかったんです(笑)。


――2008年から現在まで8年間セバスチャンを演じてこられて、小野さんの中で変化したことはありますか。

小野
技術的な面で言うと、セバスチャンのおかげで低音が安定して出せるようになりました。最初に演じたときは「とにかく低く、抑揚を抑えて、感情を出さずに演じてください」と再三言われていたので。今だから言えるんですけど、当時はそれがすごく苦しかったんですよね。このまま何も感情を表現できない役なのかなって思った時期もあって、実はすごく悩んだキャラクターなんですよ。でも悩んだことで、引き算をする勇気が持てた。それ以降にいただいた役柄も、この経験が反映されていたように思います。セバスチャンを演じたことによって、声の幅が広がり、演じられる役柄も増えた。昔だったらできなかったような、たとえば年齢を重ねた役や、すごくタフな役もいただけるようになった。一生物の役をいただけたんだなって改めて感じています。

――今作でセバスチャンは、死神のグレルとロナルド、そして葬儀屋(アンダーテイカー)とも戦います。アクションシーンが多い作品でもありますね。

小野
枢先生からも「今回は熱量を存分に出してください」というメッセージをいただいていたので、これまでのセバスチャンとしては類を見ないぐらい、アクションにアドリブをたくさん乗せています。死神のグレルやロナルドももともと躍動的なキャラクターなので、彼らもアクションがさらにエネルギッシュになっていますしね。自分としても、「セバスチャンが本気で戦うとこういう息が出るんだ」って思ったほどでした(笑)。


――小野さんが特にお気に入りのシーンはありますか?

小野
今作の見どころは、主要キャラクターがほぼほぼ出てくるということだと思います。そしてもうひとつは、原点回帰。シエルとセバスチャンが出会った頃のことが回想シーンとして出てくるんですが、そこがすごく好きですね。シエルに「今日からお前はセバスチャンだ」と名付けられたセバスチャンが「前任の執事の名前ですか?」と尋ねると、シエルは「いや、犬の名前だ」と答える。セバスチャンは心の中で「とんでもなく性悪なガキに仕えることになってしまった」と毒づく。その一連の流れが、あぁすごくセバスチャンとシエルだなと。この会話から始まったんだなって思うと、8年間積み重ねてきてよかったなって改めて思ったんですよね。

――主人と執事という関係性が始まった瞬間ですね。

小野
人間の魂の気高い部分とその裏腹な部分、表裏一体で描くのが『黒執事』。それがこの回想シーンで垣間見ることができる。今でこそ完璧に見えるセバスチャンも、最初は貴族社会のことを何も知らなくて、シエルから教えてもらっていたということも今回わかります。そして逆に、悪魔の力で成せることをシエルに与えていった。シエルとセバスチャンは2人でひとつ。表裏一体となるそのスタート地点を演じられたこと、そしてそれを見れたことも、何度も言っちゃいますがうれしかったんです(笑)。だから今回、演じていてずっと楽しかったんですよね。

(次ページ:■同じキャラクターを長く演じる喜び)
《大曲智子》
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