激変するアニメ業界で求められるプロデューサーとは? 「NUNOANI塾」塾長・布川郁司氏(ぴえろ最高顧問)インタビュー | アニメ!アニメ!

激変するアニメ業界で求められるプロデューサーとは? 「NUNOANI塾」塾長・布川郁司氏(ぴえろ最高顧問)インタビュー

『魔法の天使クリィミーマミ』や『BLEACH』、『NARUTO』、『おそ松さん』など数々のヒットアニメを生み出してきたスタジオぴえろ。その創設者である布川郁司の私塾・NUNOANI塾は、「アニメ」をはじめとした映像業界の次世代を担うプロデューサーや演出家の

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『魔法の天使クリィミーマミ』や『BLEACH』、『NARUTO』、『おそ松さん』など数々のヒットアニメを生み出してきたスタジオぴえろ。その創設者である布川郁司の私塾・NUNOANI塾は、「アニメ」をはじめとした映像業界の次世代を担うプロデューサーや演出家の人材育成を目的に設立された。講師には布川氏本人をはじめ、ストーリーコンサルタントの岡田勲氏、アニメ監督・演出の阿部記之氏や水野和則氏、若林厚史氏、亀垣一氏といった現在も第一線で活躍する豪華クリエイター陣が名を連ねる。
この度、5年目を迎えるNUNOANI塾が新たに2017年度塾生を募集する。現在ぴえろで最高顧問を務める布川氏が現在のアニメ業界に対しどのような印象を持っているのか、また今後はどうなっていくのか。そういった観点を皮切りに、NUNOANI塾では実際にどういったことを学べるのか。講義カリキュラムだけでは見えない、"想い"を中心に話を訊いた。
[取材・構成:細川洋平]

NUNOANI塾 公式サイト
http://nunoani-project.jp
5期生 入塾説明会
1月28日(土)12:00~

■ アニメプロデューサーに求められる資質
――現在、アニメ業界は放送形態が変わりつつあります。テレビ放送中心だったものが、深夜アニメとなり、今ではインターネット配信なども盛んに行われるようになっています。今後はさらにどのような展開になっていくとお考えでしょうか。

布川
メディアは多様化しておりますから、アニメーションはテレビに限らずチャンスがより増えていくのではないでしょうか。昔はスポンサーが付かなければ制作すらできなかった。それが製作委員会方式を採用したことで、アニメーションはより自由な発想でものを作れるようになったわけです。もちろん製作委員会は良い面ばかりではありませんが、製作委員会方式以前は「スポンサーが集まらなくて番組が作れない」「ギリギリまで決まらなくて制作期間が一ヶ月しかない」「この商品を出してくれ」という要求に応えなくてはいけないということがありましたから。視聴率に限らず、ヒットするケースが出てきたというのは最近の新しい傾向ですよね。
スタジオぴえろで過去にゴールデンタイムで放送していた『おそ松くん』は25~26%の視聴率でした。でもマーチャンダイズでは『おそ松さん』ほど売れてなかったんです。『おそ松さん』の視聴率は2~3%ですからね。その中で今までではありえなかったくらいの経済効果を発揮しています。これからもそういうことはどんどん起きるんじゃないかと思っています。


――『おそ松さん』のようなヒット作を生み出すためには、どのようなことが重要となるのでしょうか。

布川
大きなムーブメントを巻き起こすのはプロダクションといった「組織」よりも、クリエイターやプロデューサーなど「個々の才能」によるところが大きいと思います。今年で言うとコミックス・ウェーブ・フィルムさんが新海誠さんと作った『君の名は。』が業界に与えたインパクトは大きい。決して規模の大きなプロダクションではないにも関わらず、ものすごい結果を生み出した。映像業界でキーになる存在はますます個人化されていくのだろうと予感しています。

――プロデュースと作品が合致したから大きなヒットに繋がった。

布川
そうでしょうね。人の問題だと思うんです。これは実感ですが、企画そのものというのは思い通りになることはまずない(笑)。でも人と人が繋がれば、新しいものを巻き起こすんです。

――布川塾長が考える、理想的なプロデューサーとはどんな存在でしょうか。

布川
いま現場で作品作りに奔走している制作プロデューサーでは優秀な方が増えていると思いますが、僕が言っているのは一つの企画をクリエイターから座組みしていく、営業的なプロデューサーです。何も形のないところから作品をプレゼンテーションしていく。さらに言うと、作品実現のために理想のスタッフを具体的に想定できる人。昔はスポンサーをどう口説くのかが重要でしたが、今は作品の魅力を伝えられる人。それがすごく大事なことだと思います。実を言うと、プロデューサー自身に「これは売れる・売れない」という判断能力はそれほど重要ではない。それよりも、作品の核となるものを相手に伝えたり、「このスタッフに参加してほしい!」といった想いが大切です。
《細川洋平》
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