美麗なカードを用いて知略を巡らせ対戦するエンタテインメント、それがトレーディングカードゲーム(TCG)だ。日本で962億円、北米で5億5000万ドルもの売り上げがある一大マーケットを形成している。さらに「遊戯王」や「ポケットモンスター」など、日本から生まれたタイトルが活躍している場でもある。一方で長年が続く大型タイトルが人気を集め、新規タイトルの参入が難しいマーケットともなっている。 そんな中、日本で誕生した新たなタイトルが世界で注目を浴びている。『FORCE OF WILL』だ。世界各地域にある様々な物語をベースにした世界観、美しいイラスト、そして戦略性の高いゲームプレイが特徴だ。 日本では2012年にリリースされていたが、2014年に北米をはじめとした海外でリリースが始まると同時に、たちまち人気を集めた。TCGのビジネス情報で定評がある米国ICv2が発表した2016年春のTCGランキングでは、『マジック・ザ・ギャザリング』『ポケットモンスター』『遊戯王』に続く、第4位につけたほどだ。
そんな勢いに乗る『FORCE OF WILL』が、2016年6月に大きなサプライズを世に放った。本作に基づいた長編アニメ映画を製作する。タイトルは『Force of Will the Movie』、6つのスタジオ制作するそれぞれ異なるテイストのショートアニメから構成されるオムニバス映画になる。公開は2018年を予定する。 アニメ制作に、米国アカデミー賞短編アニメーション賞のノミネート監督である森田修平らが率いるYAMATO WORKSやエッジの立ったCG注目されるサブリメイションなどが参加するのも話題だ。さらに台湾やタイからも有力スタジオが加わる。 『FORCE OF WILL』のヒットの理由はどこあるのか?そしてアニメ映画製作の目的は何なのか?FORCE OF WILL株式会社代表取締役の宍戸英治氏に、その狙いについて伺った。
『Force of Will the Movie』 http://fowtcg.com/movie/ 『FORCE OF WILL』 http://fow-tcg.com/
―そもそもTCGとしての『FORCE OF WILL』の魅力は何なのでしょうか?なぜ海外で人気を獲得しているのですか?
宍戸英治氏(以下、宍戸) 『FORCE OF WILL』は日本では2012年にスタートしましたが、2014年に英語版をリリースしたところ大人気となりました。2016年現在で、日本語、英語のほか、イタリア語、中国語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語で展開しています。タイ語版も間もなく発売されます。とてもグローバルなタイトルで、とりわけ欧米で人気を獲得しています。 初心者というよりも、がっつり遊びたいというユーザーに刺さっています。実はコアなTCGの新作タイトルが最近はあまりなくて、ファンが待ち望んでいたゲームという面があります。