「屍者の帝国」美術監督・竹田悠介が語る AnimeJapan2016 トークイベントレポート | アニメ!アニメ!

「屍者の帝国」美術監督・竹田悠介が語る AnimeJapan2016 トークイベントレポート

バンブー代表取締役・竹田悠介による講座「『屍者の帝国』における美術学とは!?」が、AnimeJapan 2016のクリエイションエリアにて、3月26日に開催された。その様子をレポートする。

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2015年に劇場公開され、ハイクオリティな映像美で多くのアニメファンを魅了した劇場作品「屍者の帝国」。その美術監督を務めた、株式会社バンブー代表取締役・竹田悠介による講座「『屍者の帝国』における美術学とは!?」が、AnimeJapan 2016のクリエイションエリアにて、3月26日に開催された。
AnimeJapan 2016は、2016年3月25日から27日にかけて東京ビッグサイトで開催された国内最大級のアニメ総合イベント。クリエイションエリアは今年度から新設されたスペースで、26日・27日の一般来場日に、アニメ業界を志望する若者を主なターゲットとしたさまざまな展示・講座が実施された。

講師の竹田は、「東のエデン」「ギルティクラウン」「009 RE:CYBORG」など、「屍者の帝国」以外にも、数々の作品で素晴らしい背景美術を多々手がけてきた、業界の第一人者。イベントの序盤は、そんな竹田の口から、日本のアニメにおける背景美術の「実写とは違う、でも写実的なリアリティ」という世界的にも特殊なスタイルが、どのような経緯で成立したかが語られた。

竹田によると、もともとアニメの背景美術は、いわゆる絵画の技法で描かれていたのだという。しかし、時の流れとともに、カメラのレンズによって起こる効果を背景美術で表現することが求められるようになり、そこからレイアウトや光の表現が次第に深まっていった。
質疑応答を挟んでの次のコーナーは体験実習。光源を意識しながら立方体を実際に描いてみることで、先のコーナーで語られた美術における光の重要性を、参加者は具体的に理解していく。
続いて、「屍者の帝国」の美術をプロジェクターに映しながら、絵で空気感をいかに表現するかを実例で見せていくコーナーが開始。「屍者の帝国」は登場人物が国をまたいて冒険する物語が描かれる作品ということもあり、一作の中に登場するものとは思えない、バリエーション豊かな美術ボード、背景美術の具体例が、竹田の細やかな解説つきで披露され、客席からは自然と感嘆の声が漏れていた。

なお、現役で活躍する大物クリエイターの講義ということもあってか、業界志望者やアニメファンばかりではなく、アニメーターや3DCGスタッフなど、すでにアニメーション制作の現場で活躍している参加者も多数来場していた。竹田のトークの合間に挟まれた質疑応答の時間には、そうした業界人たちによる「3DCGと背景美術のマッチングをどうしているか?」「美術と撮影の兼ね合いは?」など、実務に関係する具体的かつコアな質問が続々と飛び出し、場を賑わせた。

講義の内容はもちろんのこと、業界人と竹田のやりとりに滲みでた、アニメクリエイター同士の「生の声」の感触も、来場したアニメ業界志望者には大いに刺激になったに違いない。
[前田久]

AnimeJapan 2016
ビジネスエリア: 2016年3月25日(金)~3月26日(土)
メインエリア: 2016年3月26日(土)~3月27日(日)
場所: 東京ビッグサイト
《前田久》
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