美麗なセルルック3DCGとスケールの大きなSFで話題を呼んだ2014年公開の『楽園追放 -Expelled from Paradise-』の魅力や裏話を振り返るトークショーが東京アニメアワード 2016にて開催された。同作は2016 アニメ オブ ザ イヤー部門にも選ばれている。 『楽園追放』は脚本に虚淵玄(ニトロプラス)、監督に水島精二を迎えたオリジナル劇場作品。西暦2400年、ナノハザードによって荒廃した地上を捨て人類のほとんどが電脳世界ディーヴァに暮らすようになっていた。ディーヴァが謎のハッキングを受けたことで、捜査官アンジェラは機動外骨格スーツ・アーハンと共に地上に舞い降りる──。 DVD/Blu-rayは7.9万枚のセールスを記録し、アメリカ、ドイツ、韓国など海外でも販売。今後はイギリス、フランスでもパッケージ展開を予定しており、現在も勢いは止まらない。 トークに参加したのは、同作でプロデューサーを務めた東映アニメーションの野口光一、グラフィニカ取締役の吉岡宏起。司会をティ・ジョイは山本千晶。『楽園追放』は2009年11月に企画が立ち上がり、まずは制作スタジオを探すことからスタート。2012年にグラフィニカに決定するまでにさまざまな苦労や駆け引きがあったという。 グラフィニカが制作会社に決まった時点で、吉岡率いるグラフィニカ陣営は、いかに魅力的な映像を作るかと同時に、どう効率化を実現するかを考えたそう。その例として、アンジェラ、ディンゴなどメインキャラクターでなく、モブの大半を3DCGで作成し服装を手描きにするなどひと工夫。「映像で見ていても作画かCGかわからない仕上がりにできた」と話した。 加えて「デジタル作画の可能性は映像面だけでなく、アニメーターの収入を増やす一手になるのではないか」と、グラフィニカがCGによる映像制作をしている理由についても言及。 車輌維持費や燃料費、カット袋の郵送費といった過度な制作進行人件費などを削減しこれによりアニメーターの収入向上を狙う。一方で作業については、スクリプト開発や工程システムの見直しによってスピード向上が図ることで、新たな表現を研究していけるのではと語った。 『楽園追放』について野口は「水島さん、虚淵さん、グラフィニカさんのタイミングさえ合えば続編をやりたいですね。TVシリーズでもCGアニメは元気なので、僕たちも盛り上げていければ」と今後の期待が高まるコメントも。 この後は本編が上映され、ファンにとっては裏話と本編の両方が楽しめるトークとなった。
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