2016年2月25日に、福岡県のT・ジョイ博多にてGlobal Meetup「映像コンテンツ海外進出セミナー」が2部構成で開催された。第1部の基調講演に続いて行われた第2部のパネルディスカッションでは、「ASEAN市場へのコンテンツ展開の可能性」をテーマに意見が交わされた。タイのDream Express社ディレクターのPanida Dheva-aksorn氏、シンガポールのTiny Island Production社CEOのDavid Kwok氏、マレーシアのANIMASIA社マネージメントディレクターのEdmund Chan氏、そして日本からモンブラン・ピクチャーズの松下由香氏がパネラーとして登壇。アニメ!アニメ!編集長の数土直志氏がモデレータを務めた。パネルディスカッションは、和やかな雰囲気で進行。ASEANのアニメーション産業や日本との共同制作などについて語られた。まず、数土氏がASEAN各国の3氏に「スタジオ急成長の理由やASEANが成長している理由」を尋ねた。Edmund氏は「10年前のASEANでは、ほとんどのコンテンツは輸入されていた」と語り、スタジオの成長のカギとして「政府の主導」を挙げた。マレーシアでアニメ産業を成長させていこうというサポートがあったと言う。David氏は、「シンガポールは、国レベル、人々のレベルで技術の成長を進めていこうという高い意識を持っている」とコメント。シンガポールがASEANの中で先頭を走れる理由として、「最先端のテクノロジーを活用していこう、使っていこうという意識がある」と語った。また、もう一つ成長の理由として「政府の後押し」を挙げた。Panida氏は、「海外の大手プロダクションから、下請けの仕事が増えた」と語った。これがタイでアニメーションが10年間で成長した理由となっており、「下請けの仕事をした際、クオリティの高いものを提供できたことでタイのアニメーション市場が成長した」と述べた。ASEAN3ヶ国での共同制作に話しが及ぶと、3氏は共同プロジェクトの可能性はあると回答。また、過去にも共同制作を行っていると話した。中でもPanida氏は、「日本とも共同制作できるのではないかと思っている」とコメントした。しかし、「日本の制作会社は、日本のファンを逃してはいけないという思いがある」と話し、その点を考えなければいけいなのではないかと語った。その上で、「新しいコンテンツを作りたいという日本の制作会社がいれば協業したい」と、日本とのコラボレーションに意欲を見せた。Edmund氏は「価値をもたらしてくれる人がパートナー」と前置きし、「日本ともやっていく準備がある」とコメント。David氏は「日本だけではなく世界を視野に入れた展開をしていきたい」と話し、コラボレーションを歓迎だとしながらも「日本と協業したとしてもグローバルに展開していきたい」と強調した。松下氏は海外で感じたこととして「過去のコンテンツのおかげで2年ほど前までは世界の人達が日本のアニメ業界に可能性を感じてくれていたが、今はそれほど日本に期待していない」と語った。すでに海外では、どこかの国とのコラボレーションという考えはなく、良いパートナーであればどこでもいいという考えだと言う。そんな中、最後に数土氏は福岡を「日本を超えて優れたプロダクションやクリエーターが集まるハブになれる可能性がある」と語った。[美坂柚木][アニメ!アニメ!ビズ/www.animeanime.bizより転載]
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