「STEINS;GATE」の世界は実現するのか? 作家・堺三保さんに訊いてみた

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2009年に発売されたゲーム『STEINS;GATE』は、現代の秋葉原が舞台の時間SFとして大ヒットを記録。想定科学アドベンチャーと銘打つ物語には、Eメールを過去に送れる「電話レンジ(仮)」や「タイムマシン」などのSFガジェットが登場し、単なる夢物語ではない世界観を描き出した。
2015年12月には正統続編『STEINS;GATE 0』をリリース。アニメの再放送では続編に繋がる新作パートがオンエアされ、ファンの驚きをさらったことも記憶に新しい。そこで今回は、作家・翻訳家・脚本家・評論家として活躍し、アニメや映画のSF設定も手がける堺三保さんにシュタゲ世界の実現可能性をテーマにお話をうかがった。

○堺三保(さかい・みつやす)
作家/脚本家/翻訳家/評論家。関西大学工学部および南カリフォルニア大学大学院映画芸術学部卒。
主な訳書に「ワイルド・カード」シリーズ(共訳)「X-MEN」シリーズ「シン・シティ」。アニメの参加作品に「機動戦艦ナデシコ」「星方武侠アウトロースター」「地球へ……」「エウレカセブンAO」など。

■ タイムマシンはすでに完成していた!?

――単刀直入に聞きますが、『STEINS;GATE』に出来たようなタイムマシンは実現するのでしょうか?

堺三保(以下、堺)
そうですね。私は難しいと考えています。
SFは何らかの仮定に基づいて、もしそれが実在したらどうなるのかを論理的に演繹していくジャンルなんです。つまり1個の嘘をつくために99個を本当のもので固める必要がある。
科学的に可能なタイムマシンを考えているのは、たとえば、映画『インターステラー』のSF設定を手がけた物理学者キップ・ソーンです。安定したワームホールを作って、その片方の口を亜光速で移動させれば、過去に戻るタイムマシンができると考えたんです。ワームホールとウラシマ効果を組み合わせた理論ですね。
ただしワームホールを安定化させるためには、その中をエキゾチック物質で満たさなければならない。

――『STEINS;GATE』にもタイムマシン肯定派の岡部倫太郎が、否定派の牧瀬紅莉栖に「エキゾチック物質、見つけてくださいよ」と冷たくあしらわれるシーンがありましたね。


キップ・ソーンのタイムマシンはその出入り口の時間は固定ですし、しかも作るためには膨大な年月がかかる。さらにものすごく膨大なエネルギーを注ぎ込んだとしても完成しないものです。

――『STEINS;GATE』のコンセプトは「99%の科学と1%のファンタジー」ですが、堺さんはタイムマシンはそのファンタジーの部分の1%とお考えということですね。



ちなみに、タイムトラベルものは結局のところ、時間改変が起きるか起きないかの二種類しかありません。改変が起きないパターンは、過去を変えること自体が歴史に織り込まれていて、実は何も変わらなかったという考え方です。
どちらにせよ重要なのは、過去に戻った人以外は、誰も改変が起きたことに気付かないという点です。これは時間SFの基本で、一番の醍醐味でもありますが、意外に押さえられていない作品が多いんですよ。

――『STEINS;GATE』は岡部だけが改変前の記憶を保持したリーディングシュタイナーという能力の持ち主でしたね。ポジティブに考えれば、すでにタイムマシンは完成していて、我々は改変に気付いていないだけという可能性もありえるのでしょうか?


そうですね。もしタイムマシンによって歴史が変えられていても、一般人である僕らには認識できません。過去がなかったことになっているので、皆が忘れていないとおかしいですからね。タイムマシンが完成していても、僕らは気づいてないかもしれません。


■『STEINS;GATE』は歴史を踏まえた作品

――タイムトラベルものでは、改変した過去を最後は元に戻してしまうパターンが多いように感じます。


『エウレカセブンAO』のSF設定を手がけたときは、ストーリー・エディターでメインライターの會川さんに「やり直しちゃダメだと思うんだよ」という話をされました。今まで経験してきたことを無しにしてしまうのは、人としてどうなんだろうかと。
別の企画でとあるプロデューサーと話をしたときも、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は過去を変えてしまうところが少しモヤモヤすると話題になりました。やはりこれまでの自分の経験をすべて受け入れた上で頑張るしかないということなんですよね。僕はダメなSFの人なので「やり直せるのならそれでいいじゃん」と思ってしまう節もあるのですが(笑)。
あと、一つの事象を改変したせいで、ほかのところで破綻が起きるバタフライ効果という問題もありますね。有名なのは「スタートレック」シリーズ第1作『宇宙大作戦』の「危険な過去への旅」というエピソードです。主人公であるカーク船長たちが1930年代のニューヨークに迷い込んで、ある女性と仲良くなるのですが、彼女が死なないとナチスドイツが勝利してしまうと判明する。目の前の女性を救うか、歴史を守って世界を救うか、二者択一を迫られる。そういう話です。
つまり、過去を変える行為は色々なことを背負い込むことなんですよ。『STEINS;GATE』のスタッフはすごくSFが好きな人たちだから、そういったSFの歴史をきちんと踏まえてますよね。


――近年は『STEINS;GATE』のように、タイムトラベル、タイムリープを取り入れた作品も目立っています。


日本で時間改変SFが流行りだしたのは、ゲームのループという概念が大きいと考えています。何度もリプレイを繰り返すことによって作品の雰囲気が次第に変わってくる。それを時間改変と絡めたのはすごいアイデアですよ。ゲームとしてもSFとしても非常に理に適っている。『STEINS;GATE』はそういった前例があった上での一つの頂点ですね。

――本日はありがとうございました。

■ 世の中に、まだまだ広がる『STEINS;GATE』

2015年12月には『STEINS;GATE 0』の発売もあり、『STEINS;GATE』の世界はいまも広がり続けている。
作品の魅力は、個性たっぷりのキャラクター、予想のつかない展開、そして今回の堺三保さんのお話からも窺えるテクノロジーの流れまで踏まえた作品の奥深さだ。
『STEINS;GATE』の魅力は、生活シーンとのキャンペーン協力にも広がっている。最近では駅ビルの「アトレ秋葉原」やIBMが提唱する第三世代の「コグニティブ・コンピューティング」システムにまで及んだ。さらに2016年は金融分野にまで達した。2016年1月からアメリカン・エキスプレス・カードとのキャンペーンを開始した。『STEINS;GATE』の世界観を、より広くの人に届ける楽しい企画が満載だ。意外すぎる組み合わせは、むしろ『STEINS;GATE』だからこその自由さだろう。

アメリカン・エキスプレス・カード×『STEINS;GATE 0』キャンペーンページ (PC)アメリカン・エキスプレス・カード×『STEINS;GATE 0』キャンペーンページ (SP)
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キャンペーンサイトでは『STEINS;GATE 0』に登場するアマデウス”紅莉栖”が登場。キャストボイスを務める今井麻美の録り下ろしボイスでキャンペーンを告知している。画面をクリックすると紅莉栖が反応するシュタゲらしい遊び心も見逃せない。ぜひサイトにアクセスしてシリーズ最新作の世界を堪能してほしい。


[取材・構成:高橋克則]









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