「GAMBA ガンバと仲間たち」世界に挑戦するエンタメとCG誕生の秘密 小川洋一総監督に訊く | アニメ!アニメ!

「GAMBA ガンバと仲間たち」世界に挑戦するエンタメとCG誕生の秘密 小川洋一総監督に訊く

インタビュー

『GAMBA ガンバと仲間たち』(C)SHIROGUMI INC., GAMBA
  • 『GAMBA ガンバと仲間たち』(C)SHIROGUMI INC., GAMBA
  • 小川洋一氏
  • 『GAMBA ガンバと仲間たち』(C)SHIROGUMI INC., GAMBA
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2015年10月10日に全国公開したアニメーション映画『GAMBA ガンバと仲間たち』が高い評価を受けている。エンタテイメント満載のストーリーに、丁寧に作られた映像が、新たな日本の3DCGアニメーションを感じさせる。
原作は1972年に斎藤惇夫が発表した児童文学の傑作『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』だ。街ネズミのガンバが、島ネズミの忠太の助けの求めに応じて、仲間と共に、強大な白イタチ“ノロイ”に立ち向かう。波乱万丈のストーリーは、長年世代を超えて愛されてきた。1970年代にはテレビアニメ化され大人気を博し、こちらもいまなお広く知られている。

そんなガンバたちを新たなかたちで2015年に登場させたのが、『GAMBA ガンバと仲間たち』である。映画化にあたっては原作の持ち味を最大限に活かし、さらに2015年ならではの映像とした。テンポのよいストーリー、実力派揃いの声優陣、世界で注目される作曲家ベンジャミン・ウォルフィッシュによる劇伴音楽と見どころたっぷりである。
なかでも注目は制作の白組であろう。『STAND BY ME ドラえもん』や『ALWAYS三丁目の夕日』などの大ヒット作のCGアニメーションやVFXで名を馳せた白組が、『ガンバと仲間たち』を描き切った。躍動感あるキャラクターたちの映像は、上質のストーリーと重なることで、最上級のエンタテイメントに仕上がった。
そんな『GAMBA ガンバと仲間たち』は、どうやって世に誕生したのか?ここまでに辿りつく苦労は?本作の企画・総監督で、白組副社長の小川洋一氏にお話を伺った。

abesan■ 「CGになっても、白組はアニメがうまいと言われる会社を目指したい」

白組と言えば、実写映画のVFXやゲームムービー、CM、テレビ番組など、多彩な映像分野で活躍している。そのなかで『GAMBA ガンバと仲間たち』は、モーションキャプチャーを使わない手付けのキャラクターアニメーションで制作された。アニメーションのなかでもとりわけ手のかかる方法だ。
なぜ今回白組は手付けのキャラクターアニメーションを選んだのだろうか。それはこれまでの白組の歩みに理由があった。

小川氏によれば、白組のCGアニメーションの始まりはモーションキャプチャーにある。ゲームムービーの「鬼武者」シリーズなどで大きな成果をだしてきた。ただし、モーションキャプチャーは人間の動きをトレースするものなので技術の差が付きにくい面があった。
そこで白組がもともとは2Dアニメーションから始まった会社であることから、「CGになっても、白組はアニメがうまいと言われる会社を目指したい」と考えたのだという。
そこである時点から、手付けのCGアニメーションの仕事に積極的に取り組み始めた。『大乱闘スマッシュブラザーズ』や『ブルードラゴン』といったゲーム作品だ。
さらに『ブルードラゴン』の際にそのゲームムービーの総尺が90分以上に達していたことに気づいた。これだけ作れるならば、映画を作ってみようと自主企画を立ち上げた。これが『GAMBA ガンバと仲間たち』につながった。

abesan■ なぜ『ガンバと仲間たち』だったのか?

自主企画の3DCGアニメーションとなれば、今も昔もかなりの時間とコストがかかる。その時になぜ『ガンバと仲間たち』だったのだろうか。
小川氏はこれを、キャラクターとストーリーのふたつで説明する。まずキャラクターについては、動物であることを一番の条件にしたという。「リアルなものは大変で、人を描くには相当デフォルメをしなければいけない。それにモーションキャプチャーは人を表現するのが得意だから、手付けでしか表現できないものとして動物にしたかった」、そのうえで「3、4年後に古くなってしまうキャラクターはだめ。あまり尖ったものも向いていない」と話す。
ストーリーも同様だ。「長い間で古くならない強固な原作があるのがいいかなと思いました」と、そして「『ナルニア国物語』や『指輪物語』などは、古い原作を新しく描くことがうまくいっている。それを日本の原作でやれたら面白い」と考えた。その結果行き着いたのが長年愛されていきた『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』である。

ただし、そこからの苦労は少なくなかった。とりわけキャラクターのビジュアルには試行錯誤があった。当初は、原作の挿絵のようなリアルなネズミの絵で考えていたという。その後、キャラクターらしい絵に替わったが、それでも初期にはもっとアート寄りの、イラストレーションぽい尖ったデザインを採用し、そのキャラでパイロット版も作った。
しかし、これだと表情が少なく、特に会話シーンが物足らないことに気づいた。「いい映画を作るのであれば、それではいけない」と、いまのより感情移入できるキャラクターよりのかたちに辿り着いた。


脚本やストーリーも同様だ。骨格は大きく変わらないものの、観客の反応も考え、いくつものトライアンドエラーが繰り返されている。
例えば冒頭シーン。「掴みのシーンはいくつも考えました。まずはガンバの街の中にいるシーンを描きたいと思いました。厨房で大暴れするようなシーンも考えました。」といろいろなアイディアがあったという。
ラストシーンでも、最後のノロイの倒したかたも当初から大きく変更されているという。さらに女性スタッフの意見を取り入れて、ヒロインである潮路の活躍を増やしたりもした。
最も大きな変更は、ハリウッドのプロデューサーであるアビ・アラドがプロデュースに参加し、海外の視点からアドバイスをしたものだ。ここで尺を大胆にカットした。息をつく間もない、一時も目を離せない映画は、こうして誕生したのである。

■ 苦難を乗り越えた3DCGアニメーション

もちろんCGアニメーションにも苦労がある。例えば群衆シーンだ。「CGは誤魔化せないなと思いました。セルアニメであれば、周りを静止画にしたり、描かないことも可能。ただそれをCGでやるとキャラクターが死んでしまいます」と話す。冒頭の見せ場となる宴会シーンは、とりわけ大変だったという。忠太がノロイの話をした途端に大勢のネズミが引いていく、この俯瞰シーンだけで膨大な手間がかかった。
それでも「面白いものを作らなければ意味がない」「アクションシーンをきちんと作りたかった」「アクショシーンがちゃんとした映像は面白いはず」という思いが、今回の映像を実現させた。


今回の『GAMBA ガンバと仲間たち』について小川氏は、CGキャラクターアニメーションのひとつの成果も感じているようだ。それは当初目指した「動物もの」「日本の原作」「古典」での作品を実現させたことにありそうだ。「他の会社は作らないと思った」「中途半端なものを作っては意味がない」との言葉に、作品に込められた思いも伝わってくる。
また小川氏は、最新の技術やソフトに惑わされずに作ることの重要さを強調する。そして作品が完成して一番の売りになったのは結局アニメーションだったと話す。「手付けのアニメーションを出来る限り丁寧にやりました」、これこそが大きな価値なのだろう。
そして「テレビやゲームのように決められた時間内で作るものもあるが、クオリティを一番優先して作れるのが映画だと思います。ここまで贅沢にできるかは分かりませんが、いいものを作らなければいけない。」と、今後も『GAMBA ガンバと仲間たち』での経験を活かしていく気持ちを語った。
[数土直志]

映画『GAMBA ガンバと仲間たち』
http://www.gamba-movie.com/

[上映館]  2015年11月21日現在
岩手県 12/19より上映
山形県 MOVIE ON やまがた 11/29まで上映
栃木県 日光劇場 11/28より上映
埼玉県 ユナイテッド・シネマウニクス上里 11/27まで上映
東京都        
品川プリンスシネマ 11/25まで上映(土日祝水のみ)
新宿バルト9 11/21・22休映
渋谷TOEI 
イオンシネマむさし村山 11/27まで上映
石川県 イオンシネマ金沢 11/27まで上映
静岡県 ジョイランドシネマみしま 11/27まで上映
京都府 イオンシネマ京都桂川 11/27まで上映
鹿児島県 鹿屋リナシアター12/5より上映


『GAMBA ガンバと仲間たち』
(C)SHIROGUMI INC., GAMBA
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