2015年10月20日から22日まで東京・台場のホテル グランパシフィック LE DAIBAで映像・音楽・アニメの国際見本市「Japan Content Showcase 2015」が行われた。バイヤーやクリエイターへ向けたピッチングセッション(プレゼンテーション)とマッチングの場も数多く設けられた。21日に開催されたファンワークスによる「ソーシャルメディア時代における国際共同アニメ製作の未来と大いなる可能性」と題されたセッションもそのひとつである。登壇したファンワークス高山晃代表取締役社長は設立前、広告代理店を経て映像制作会社で秋元康、堤幸彦に師事した。後にアニメーション制作会社に入社。その後ファンワークスを設立した経歴の持ち主だ。ファンワークスの手がける仕事はコンテンツビジネスの展開、クリエイターマネジメント、権利処理、映画制作、企画開発、Webプロモーション、ソーシャルメディアの立ち上げなど。2D、3D、フラッシュアニメ制作を主軸としながらも多岐にわたる。特定の場所を持たずに活動することで事業内容に則したチーム編成を行っているとのこと。高山氏は多くのプロジェクトの立ち上げに関わってきた経験を活かし、制作の展開・プロモーションだけでなく、マーケティングリサーチや資金調達まで行うという。手がけてきたアニメーションは多彩だ。「やわらか戦車」(2005)、「富山観光アニメプロジェクト」(2009)、「がんばれ!ルルロロ」(2013~)、「ギガントシューターつかさ」(2013)、「英国一家、日本を食べる」(2015)、「Hebring 昇龍道アドベンチャー」(2015)。特に「やわらか戦車」の監督・ラレコ氏との出会いが大きな転換期となったとのこと。YouTubeやニコニコ動画などもなかった時代にネット上で発表されたインパクトは絶大で、公開直後にはアクセスの集中でサーバーが落ちてしまったとのことだ。「富山観光アニメプロジェクト」は、富山県にスタジオを構えるアニメーション制作会社P.A.WORKSと。今回「Tokyo Creators Next 2015」にも出展している富山県出身の兄弟クリエイター・The BERICHが手を組んだことで話題を呼んだ。社名「FANWORKS」には「“F”OOTWORK」「“A”RTWORK」「“N”ETWORK」と、企業として大切にしているコンセプトが込められているという。無駄をそぎ落とし、持続性のあるプロダクトを作っていきたいと高山氏は語った。また、ネットワークの進化により国から個人(あるいは企業)という単位へ変革しつつあることを前提に、「単一プロジェクトの大規模化」ではなく「分散型プロジェクトの集合体」をもってコンテンツを運用していく事業展開を目指しているとのことだ。分散型であればリスクも同様に分散するため取り回しが効きやすいのだ。高山氏は今後は海外展開も積極的に推し進めたいと語る。目に見えるビッグヒットがあるわけではないが、上に挙げた作品はどれもソリッドでクリエイティビティに溢れた作品ばかりである。さらに「ファンワークス色」もハッキリとうかがえる。海外に視野を向け、進出した際、どのようなクリエイターを発掘し、手を組み、アニメを産み出していくのか、ファンワークスの今後の展開を楽しみにしたい。[細川洋平]
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