米国のポップカルチャービジネス業界情報のICv2によれば、北米における日本マンガの売上げが依然堅調を続けている。ICv2は10月8日、ニューヨーク市にて大型カルチャーイベント ニューヨークコミコン2015(New York Comic Con2015)が開催されるに合わせて「ICv2 White Paper」を発表した。 「ICv2 White Paper」はアメリカンコミックス、マンガなどの関連産業の最新動向を紹介するものである。ICv2のCEOであるミルトン・グリップ氏は、このなかで関連業界は1950年代以来かつてない好調との見解を示した。
今回の「ICv2 White Paper」の報告は、近年、関係者から指摘されてきた北米における日本マンガの予想を超える堅調ぶりを裏付けたかたちだ。日本の翻訳マンガ出版は2000年代前半のブームを経て、2006年から反転、その後長いスランプに陥っていた。これはインターネット上の海賊版の蔓延や、グラフィックノベルの取り扱いの大型書店の経営破綻、日本での作品リリースと翻訳出版との時差が理由とされてきた。 2010年代以降、こうした問題が次第に改善されてきていることが、潮目の変化にある。ネット上の海賊版は依然活発だが、積極的な啓蒙キャンペーンにより海賊版の違法性に対する認知は高まっている。また海賊版を生み出す理由のひとつになっていた日米のリリース時差は人気作品を中心に大幅に縮まっている。なかでもマーケットを牽引する『進撃の巨人』や「少年ジャンプ」の主力作品での同時展開は大きな力を発揮しているとみられる。