■ ガンダムシリーズのターニングポイントだった『Gガンダム』―― 経験から得たアイディアは、ガンダムについても活かされていますか?大河原例えばGガンダムだと、いろんな国をモチーフにしたロボットが登場します。そこでロシアだったら自分の主観で「これがロシアだ」を出しちゃう。自分の頭の中にあるロシアのイメージです。ガンダムF91ではコスモバビロニアという国が出てくるので、「じゃあバビロニア文明の彫刻を参考にして」と作り上げていきます。ガンダムの敵のモビルスーツは、モノアイが代名詞になったのですけど、「敵のデザインコンセプトをください」と言われた時に、ゴーグルや防毒マスクとかちょっと主役にはなれない記号をいっぱい入れました。―― 『機動武闘伝 Gガンダム』とファーストガンダムとは世界観が大きく違います。それでもどれもガンダムと分かります。ガンダムをガンダムとして成り立たせる要素は何なのでしょうか。大河原Vアンテナとカラーリングを守ることです。Gガンダムの監督(今川泰宏監督)は偉かったですね。多分Gガンダムは、これまでとあまりに違うので当初はファーストガンダム世代の人に拒否感があったはずです。―― そうですね。ところがその後にすごく人気が出ました。大河原当時、監督がその風当たりを引き受けたから、その次のガンダムウィングがあり、今のGのレコンギスタまでつながります。私はガンダムのシリーズの中であれを一番評価しているんです。あそこがいろいろな監督が自分なりのガンダムを発信できるターニングポイントになりました。あの作品があったからです。そうでないと36年は続かないです。いまでも来年のガンダムは何にしようかという余地があるのは、Gガンダムがあったからだと思います。ガンダムを見て育った人が、今度は自分が作り手になり次々にガンダムを発信できる。多分ずっと続くんじゃないですかね。
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