『リトルプリンス 星の王子さまと私』キャラクター監修:四角英孝氏インタビュー 「CGで繊細な表現にこだわる」 | アニメ!アニメ!

『リトルプリンス 星の王子さまと私』キャラクター監修:四角英孝氏インタビュー 「CGで繊細な表現にこだわる」

『星の王子さま』にてスーパーバイザーとしてそのCG表現映像化に挑戦した四角英孝氏。本作で何を目指したのか? 海外から日本のアニメーションの現状はどう映るのか? 話を聞いた。

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2015年、児童文学の名作『星の王子さま』が長編アニメーションとして登場する。『リトルプリンス 星の王子さまと私』と題し、国内では2015年11月に全国公開を予定だ。
最先端の3DCGによってアニメーション化される本作で、キャラクター表現の要を担うのが日本人スタッフでスーパーバイザーの四角英孝氏だ。これまでディズニー映画でCGスタッフとして活躍してきた四角氏は、とりわけ『塔の上のラプンツェル』における髪の表現が高い評価を得ている。
ディズニーを離れ、マーク監督のもと『星の王子さま』の映像化に挑戦した四角氏。本作のCG表現で何を目指したのか? 海外アニメーションの最前線で活躍してきたその目から日本のアニメーションの現状はどう映るのか? 話を聞いた。
[取材・構成=沖本茂義]

映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』
11月21日(土) 全国ロードショー
http://wwws.warnerbros.co.jp/littleprince/

■ キャラクターの繊細な動きにこだわる

abesan―― 「キャラクター監修」を担当されていますが、具体的にどのようなことをやられたのでしょうか?

四角 
スーパーバイザーとして、CGパートのキャラクターに関することを全般的に監修しました。2次元で描かれたキャラクターデザインを3Dに起こすモデリングから、アニメーションとしてキャラクターを動かせる仕組みをつくったり。そのほか髪の毛や服など細かい動きをつけたり、色をつけたりもしました。

―― あらゆるプロセスに関わられたと。キャラクターづくりについて、監督からオーダーはありましたか?

四角 
ディズニーのように歌って踊ったりする映画ではないし、ドリームワークスが得意とするようなギャグ満載の映画でもない。そのぶん監督からは「繊細な表現にこだわりたい」という要求がありました。セリフなしでも目の動きだけでキャラクターの感情を伝えるレベルにしたい。そういう監督のこだわりがあったし、キャラクターに感情移入してもらいたかったので、技術的にいろんな工夫をしました。

―― 企画時、『星の王子さま』を3Dアニメーション化すると聞いてどう思われましたか?

四角 
最初にこの仕事のお話いただいたときは、やっぱり不可能だと思いました。70年間愛された本を新しくつくり変え、新たな解釈を加えてさらにそれをCGで表現するとなると、相当難しいだろうと。でも監督の話を聞くと、「原作の本は守る」「手を加えることはしない」という方針でした。
この映画で王子の物語は、少女・マッケンジーによるイメージとなっていて、それは全てストップモーションで描かれています。3DCGの現実世界とは意図的に区別されているわけです。原作の詩的な雰囲気はストップモーションの手づくり感で描き、一方、現実世界はCGのリアリスティックな表現で描く。その対比が面白いと思います。

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―― フッテージ映像を拝見して、3DCGとストップモーション、ひとつの映画で違うアニメーションスタイルが描かれていて面白いなと思いました。

四角 
ストップモーションのアニメーションがあまりにも素晴らしかったので、お客さんに「戻してよ!」と思われたら嫌だな、と思いましたね(笑)。そのぶん僕らCGパートも努力を積み重ねました。キャラクターの細かい動きまで気を配りました。たとえば目の動きがそうです。人間の目ってすごく敏感で、その動きひとつでいろんな情報を読み取ることができるんですよ。監督から「この目の動き、2フレーム戻して」という非常に細かいオーダーもありました。

―― それはすごいですね。3DCGからストップモーションに切り替わるとき、違和感がなくとても自然でした。

四角 
そのあたりマークがこだわったところです。少女が読む絵本、その「紙」を上手いこと媒介にしたり、色合いをそろえることで違和感がないように工夫しました。

《沖本茂義》
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