5月9日、日本映画批評家大賞は2015年(2014年度)のアニメ部門各賞の受賞作品、受賞者を発表した。このうち作品賞にはフルCGアニメで話題を呼んだ『楽園追放 -Expelled From Paradise-』(東映アニメーション(水島精二監督))が選ばれた。また監督賞は『思い出のマーニー』の米林宏昌氏が決まった。 さらに功労賞には長年の人気キャラクターをフルCGで表現した『STAND BY ME ドラえもん』のエグゼクティブプロデューサーである梅澤道彦氏、阿部秀司氏、声優賞は山寺宏一氏となった。特別賞は手描きアニメの心髄を見せた『ジョバンニの島』(Production I.G(西久保瑞穂監督))だった。
作品賞を受賞した『楽園追放 -Expelled From Paradise-』は、監督に水島精二氏、演出に京田知巳氏、脚本に虚淵玄氏(ニトロプラス)らのヒットメーカーが結集、グラフィニカの制作によりセルスタイルのフルCGに挑んだ意欲作だ。日本アニメが長年培ったメカニックと美少女といった題材に骨太なストーリー、それを最新のCG技術で昇華した。 公開は2014年11月15日、話題作ではあるものの興行規模は必ずしも大きくない。そうした作品をも評価するのが日本批評家大賞と言えそうだ。 監督賞を受賞した米林宏昌氏による『思い出のマーニー』は、スタジオジブリのアニメーション制作による手描きアニメだ。特別賞の『ジョバンニの島』も手描きアニメ、キャラクターの表現・動きや背景に日本アニメの技術が結集している。CGと手描きの作品が受賞に並ぶのに、現在の日本アニメの状況が表れている。
功労賞の梅澤道彦氏はシンエイ動画で長年アニメのプロデュースを、阿部秀司氏はロボットで映像プロデュースに携わってきた。ふたりが2014年に手がけた『STAND BY ME ドラえもん』は、往年の人気キャラクターを長編CG映画とすることで新たな表現を実現した。映画は世代を超えた支持を受けて大ヒットとなっている。 声優賞の山寺宏一氏は、『かいけつゾロリ』ゾロリ役や『カウボーイビバップ』スパイク役、『新世紀エヴァンゲリオン』(加持リョウジ役)を初め多数のアニメで活躍してきた。さらに外画やナレーション、実写や舞台、バラエティと多彩な活動を続ける。日本の声優界を代表する存在である。
第24回日本映画批評家大賞[アニメ部門]受賞者・受賞作品
■ 作品賞 『楽園追放 -Expelled From Paradise-』 東映アニメーション(水島精二監督) ■ 監督賞 米林宏昌 『思い出のマーニー』 ■ 功労賞 梅澤道彦・阿部秀司 『STAND BY ME ドラえもん』 ■ 声優賞 山寺宏一 ■ 特別賞 『ジョバンニの島』 Production I.G(西久保瑞穂監督)