米国のコミック業界から最も注目される賞であるアイズナー賞(Will Eisner Comic Industry Awards)のノミネート作品が先頃発表された。アイズナー賞は過去1年間に北米で発表されたコミックのなかで優れた作品、アーティストを顕彰するものだ。29部門にもわたり150以上のノミネートが挙がる。 一方で北米のコミック業界で少なからぬシェアを占める日本マンガは、今年のアイズナー賞では存在感が薄い。アジア部門以外では候補となった作品はなく、やや寂しい状況であった。
そうしたなかで注目されたのは、7歳以下の子どもに向けたベスト作品候補の5タイトルに『Hello Kitty, Hello 40: A Celebration in 40 Stories』(edited by Traci N. Todd & Elizabeth Kawasaki)(VIZ)が挙がったことだろう。 1974年にサンリオが生み出した「ハローキティ」が生誕40周年を迎えたのを記念して、様々なアーティストが物語やアートを提供するアンソロジーになっている。出版は日系企業のVIZ Media、日本のポップカルチャーが現地の文化と混ざった新しい潮流を感じさせる。
日本勢が活躍するのは海外作品アジア部門(Best U.S. Edition of International MaterialーAsia)である。北米で出版された中でオリジナルがアジア地域にある作品を対象とする。ノミネートは6作品あるが、全てが日本のマンガだ。 その候補作品にはアイズナー賞らしい特徴がでている。『MASTERキートン』はアイズナー賞ノミネート常連の浦沢直樹が作画、『コミック昭和史』の水木しげるもアイズナー賞に馴染み深い作家だ。 一方で『All You Need Is Kill』は2014年にハリウッドで実写化された桜坂洋の小説を、人気マンガ家の小畑健の作画でマンガ化した。『おおかみこどもの雨と雪』は、細田守が原作・監督を務めたアニメ映画のマンガ化だ。メディアミックス作品が高い評価を受けている。 他の2作品は、安野モヨコがダイエットをテーマに描いた『脂肪と言う名の服を着て』とウェブ発のギャグマンガ『ワンパンマン』(原作/ONE、作画/村田雄介)という個性たっぷりだ。 受賞作品の発表は、7月9日から12日までサンディエゴで開催されるコミコン2015の会場内で行われる。