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堀義貴氏(ホリプロ代表取締役社長)インタビュー「デスノート THE MUSICAL」で世界を目指す

『デスノート』は善と悪の物語、普遍性があるから生き残れる作品[取材・構成:高浩美]■ 今、アニメ以外の日本の文化で外国で稼げそうなビジネスが見当たらない■ 観にきてくれる若い人たちが減る、だったらよそのマーケットを引っ張ってくる

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■ 『デスノート』、フランスまで到達すれば『レ・ミゼラブル』みたいになる可能性だってある

いよいよ来年の春、2015年に『デスノート THE MUSICAL』の幕が開く。
「何故、『デスノート』をやれるのかっていうのは映画を作ったからなんです。藤原竜也がロンドンに留学したときや、ニューヨークで公演したときに街で声をかけられるんですよ”お前、映画スターだろう”と。『バトル・ロワイヤル』と『デスノート』に出演してたからなんですね。”こんなに知られているんだったら……日本の俳優が街中で声かけられるってなかなかのことですよ。ロンドンは日本のアニメ、そんなに凄い訳ではない。でも本当に”あ~みんな観てるんだ~”、そういう実体験があったから、それで『デスノート』なら海外に行けるなと思ったんです」

日本のミュージカル、いわゆる2.5次元ミュージカルが国内ではすでに大きなシェアを占めてはいるものの、『オペラ座の怪人』や『ライオンキング』等の海外ミュージカルのシェアもまだまだ大きい。海外で製作された作品に対しては権利料、つまりロイヤリティが発生する。世界中でヒットしている作品だったら、その収入は相当額にのぼるはずだ。

「外国の作品を上演するときは、日本側はほっといても10数%はロイヤリティを支払う訳です。『デスノート』ってタイトルやL(エル)とか月(ライト)とか日本人ぽくないし、ブロードウェイに出るつもりでやる。その前にアジア地区でやれればいいなと。『オペラ座の怪人』が日本でやってるように、海外でも(この作品が)やれたらいい。でもこれがハズレたら次はきついな~っていうのと、今からはずれちゃうとまた次を作るのに5年かかるし、この『デスノート』だって5年かかっていますから。」
「日本人の作曲家で日本人の脚本家で海外に持っていくのは大変です。だから作曲家はワイルドホーンさんで。で、彼は『デスノート』を知らなかったんですけど、息子さんが知ってたんで、一気に(企画が)スタートしたんです。これだけ作品が知られている訳ですから、彼らも商売になると思ってるんですよ。これでワンパッケージにして、最初は日本とアジアでオフブロードウェイみたいな感じでやる。もちろん、ブロードウェイにこだわっている訳ではありません。ハンガリーでもブタペストでもウィーンでも、どこでもやれればいい。それでロイヤリティが入ってくるし。
フランスまで到達すれば『レ・ミゼラブル』みたいになる可能性だってある。ロンドンにいくとか、その時は大改訂しないといけないかもしれないけど。原作の連載は終わっていますが、この作品テーマは普遍的ですし、長く生き続ける可能性のある作品です」

『デスノート』は善と悪の物語。善悪二元論、最後までそのどちらが勝利するか不定というのが完全基本原理で、この作品もその法則にのっとっている。”不朽の名作”と呼ばれる文学作品にはこういったテーマのものはかなりある。この『デスノート』もそういった見地では高い確率で後世に残る可能性のある作品ではないだろうか。
「世界に進出して大きくする作品であるならマンガであろうと小説であろうとこだわりはないです。ただ、小説は翻訳してさらに説明しなければならないから難しい。それに海外の観客層は日本より若いし、男女比率はだいたい半々ですね。そういったことを考えると日本のアニメって一番わかりやすいですよね」
来年の春からは渋谷のアイア シアタートーキョーが2.5次元ミュージカルの専用劇場となる。1年の期限付きではあるものの、この存在価値は大きい。

「ブロードウェイとかウエストエンドの劇場の観客の8割が観光客なんです」
ニューヨークに観光に行ったら”一度は本場のブロードウェイで人気ミュージカルを観劇したい”と考えるのは必然。”ブロードウェイ”という言葉自体にブランド性があり、”ここで観たい”と思わせるだけの吸引力がある。アイア シアタートーキョーに寄せる期待は大きい。
「『デスノート THE MUSICAL』みたいなものを常時やっていますよ、と。でも、(システムとして観光客の)受け入れ体制がないとね」

いずれにしても2.5次元ミュージカル、日本のエンターテインメント業界はここにきて岐路に立っている。2.5次元ミュージカルは今、クローズアップされており、追い風が吹いているものの、システムの問題や日本経済の情勢などを考えると、10年先、20年先を見据えた展望・企画が急務である。
日本のエンターテインメント業界を牽引する大手制作会社・ホリプロ。2015年は正念場の年となりそうだが、それはどこも同じではないだろうか。『デスノートTHE MUSICAL 』、是非とも世界に羽ばたいて欲しい。

『デスノート THE MUSICAL』
http://deathnotethemusical.com

【東京公演】 2015年4月6日~4月29日 日生劇場
【大阪公演】 2015年 5月15日~5月17日 梅田芸術劇場
【名古屋公演】 2015年5月23日~5月24日
【韓国公演】
2015年6月~8月 城南アートセンター オペラハウス
主催: C JeS CULTURE  演出 栗山民也

『デスノート THE MUSICAL』
(C)DEATHNOTEthemusical
《高浩美》
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