富野監督も登場した「三枝成彰 映像音楽の世界」、逆襲のシャアを収録順に14曲 

レビュー

12月3日(火)東京・渋谷のBunkamuraオーチャードホールで「ベネフィット・ワン Presents 三枝成彰 映像音楽の世界」が行われた。平日にもかかわらず会場は見渡す限り人でいっぱいとなっていた。
このコンサートでは第一部に三枝成彰さんが携わった『宮本武蔵』や『優駿ORACION』、『太平記』などのメインテーマを中心とした楽曲を演奏。そして第二部は映画『機動戦士ガンダム 逆種のシャア』をサウンドトラック収録順に14曲と豪華なラインナップとなった。

開演の時間になり、NHK新大型時代劇『宮本武蔵』のメインテーマでコンサートは始まった。三枝成彰さんの特徴的な音の使い方やメロディライン、フルオーケストラの迫力に観客は一気に世界へ入り込んだ。
そして続いて映画『優駿ORACION』の2曲が終わり、三枝さん本人が客席から登壇した。今回のスポンサーを紹介するお茶目な部分が見えつつ、指揮者の金聖響さん、エレクトーンの清水のりこさん、サキソフォンの平原まことさんを紹介した。平原まことさんは歌手・平原綾香さんのお父さんということもあり、会場にいる平原綾香さんをステージに招いたりと、観客へのサプライズもあった。

そしてさらに『詩城の旅びと』『太平記』『花の乱』と壮大なテーマの曲が続いた。間にあったトークではヴァイオリンと二胡を担当する篠崎正嗣さん、チェロの金子鈴太郎さん、ピアノ、シンセサイザーの向谷実さんを紹介した。
NHK大河ドラマ『花の乱』の演奏の前には、会場にいる三田佳子さんも紹介され、会場は大きく盛り上がった。

そして休憩をはさんで第2部が始まった。すると壇上には、三枝さんと一人の帽子をかぶった男性が現われた。会場の一部の人はすぐに誰か分かっただろうその人は、現在放送中の『ガンダム Gのレコンギスタ』の総監督でもある富野由悠季監督だった。
会場は一気に沸き、まず三枝さんから富野監督の紹介があった。富野監督は三枝さんの純粋なファンたちへ「こういう会場でできるのは、ガンダムファンがいたおかげというのはかなりの事実だと思います」と話した。
三枝さんも「オペラができるようになったのはガンダムの印税のおかげ」と言い、さらに富野監督が「ここにいるガンダムのファンの方の…」という言葉に、会場のファンからは拍手が送られた。

初めて二人が出会った時は富野監督が黒いマントで現れたそうで、三枝さんは「悪魔が来ちゃったのかしら」と思ったそうだ。富野監督は三枝さんの音楽について「弦のオーケストレーションが綺麗」と話し、「ガンダムのような作品に使えばもっと表現が豊かになるのでは」と思ったそうだ。
「アニメを知らない方には、こういう世界があるってことを知ってほしかった」と富野監督「26年目でやっとこうやって…」と感慨深そうに話し、帽子を取って頭を下げた。しかしその後「二人して坐骨神経痛です」と話し、手術で治ったという三枝さんに対して「Gレコが終わったら手術をしようかな」と会場の笑いを誘った。

富野監督、三枝さんがステージから降り客席へ向かうのを見送ると、一気に会場の緊張感が高まった。
最初の1曲目は『メインテーマ』、目の前で実際に演奏されているとあって、その迫力はテレビで聞く比ではない。リズムを取るのが大変そうであり、弦や打楽器の演奏の細かさが際立った。サウンドトラックに収録されている音源は、スタジオでそれぞれのパートごとに収録しているはずだ。一堂に会して合せる難しさというのがよく分かる。

三枝さんはガンダムシリーズで『機動戦士ガンダムZ』『機動戦士ガンダムZZ 』『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の3作を担当している。
2014年6月に発売した「オリジナルサウンドトラック『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』完全版」は6,480円という価格にも関わらずオリコン・デイリーチャート4位を獲得した。26年経った今でも愛され続けていることがよく分かる。ガンダムシリーズの中で一番好きだという人も多い『逆襲のシャア』の魅力は音楽も大いに含まれているのだろう。

改めて聞いてみると『Z』『ZZ』のシリーズよりも一本筋が通っているような雰囲気を持つ、迫力あるサウンドだと感じた。それは子供が戦争に巻き込まれ前線で戦うことになってしまう、どこか危うさのある『Z』『ZZ』に比べ『逆襲のシャア』は大人の戦争の物語だからかもしれない。子供もいるが、前線で戦うのも中心にいるのも大人と、今までのガンダムシリーズとは違う。その違いが、音楽にも現れていると感じた。

夢のような時間はあっという間に終わり、大きな拍手で幕は閉じた。終了後には富野監督と握手をしたファンもいたようだ。
貴重な機会にもう二度と聞けないかもしれない、と思ったファンも多いと思うが、次の機会を何年でも待ちたい。そう思えるコンサートだった。
《タカロク》

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