水島精二監督×脚本・虚淵玄『楽園追放』インタビュー前編 「なぜ楽園なのか?を考えて欲しい」

インタビュー

2014年11月15日(土)、映画『楽園追放- Expelled from Paradise -』の劇場上映がスタートする。東映アニメーションの久々の劇場オリジナルアニメとなる。制作にあたってはセルタッチのフルCGアニメも採用するのが話題だ。
5年前から企画が始まった本作品は、アニメ界を牽引する水島精二さん、虚淵玄さんというトップクリエイターが参加する。『鋼の錬金術師』『機動戦士ガンダム00』の監督と『魔法少女まどか☆マギカ』『PSYCHO-PASS』の脚本がタッグを組む。
しかし意外なことに劇場オリジナルアニメが初めてという二人だが、“新しさ”を求められそれをどう表現しようとしていったのか、話を伺った。

『楽園追放 - Expelled from Paradise -』
2014年11月15日(土)劇場上映開始
http://rakuen-tsuiho.com/

■ 新しさを求められていた『楽園追放』、その企画のはじまり

―インタビューということで作品を観させていただいたのですが、当初予想していたものと相当違うなとの印象でした。

虚淵玄さん(以下虚淵)
そう思っていただけるとありがたいですね。

―すごく骨太です。この企画が始まったきっかけはどういったものなのでしょうか?

虚淵
5年ぐらいさかのぼるはずなんですけど、東映アニメーションの野口(光一)プロデューサーからフル3Dのテクノロジーを活かして何か作りたいと、技術方面からの要請がありました。
そこで企画書を出しました。ただ実際に脚本を書くとなると、監督との連携が必要です。ここで一旦止めて「監督決まったらまた続けましょう」となりました。

虚淵
そのあと水島さんにお願いすることになりました。あれはいつ頃でしたっけ?

水島精二監督(以下水島)
僕はちょうど『UN-GO』をつくっている頃なので、3年、4年ぐらい前かな?最初に打診があったのは確かその時期です。

toeishinsaku.JPG―外に向かって製作発表があったのが2012年の東京国際アニメフェアです。東映アニメーションのブースにさりげなくポスターが貼ってあり驚かされました。あの頃には企画は相当進んでいたのですか?

水島
いえ、全然。

虚淵
文字だけのポスターでしたっけ?

水島
うん、ポスターつくった。

水島
僕が監督に決まって……どういうふうに進めましょうか?という話があって、その時に虚淵さんと会いました。
製作過程や進行状況をエンタメ的にユーザーに提示して楽しんでもらいたいと野口さんが提案して、とにかく早く発表するとの話でした。
キャラクターデザインの開発を始める前に、「ポスターを」と言われて、「何をやるの?」といった結果です。「できれば紙の素材にこだわって、文字でやりたい」と。

fd

―水島監督自身は、ニトロプラスの虚淵さんと東映アニメーション、さらにそこにご自身が加わる。アニメファンから見るとかなりのサプライズですが、そうした自覚はあったのですか?

水島
虚淵さんと東映アニメーションさんがやることは、僕も聞いたときに驚きました。「あ、何か新しいことをやるためのプロジェクトなんだな」というのはよく分かりました。「いわゆる東映らしい東映のアニメじゃないんだな」っていうのは最初に感じましたね。面白いなと思いました。
虚淵さんはその前から個人的には面識がありました。骨太の話を書くので、何か機会があったらご一緒したいなと思っていたぐらいです。

虚淵
渡りに船でしたね。

水島
お互いに「こんな早くできるとは思わなかったね」みたいな感じでしたね。

―2人で仕事をする予感は持っていたのですか。

水島
ただ「ずっと」っていうほどの、長い知り合いでなかったんです。『機動戦士ガンダム00』の後半ぐらいに知り合いを通じての縁です。
当時すでに虚淵さんがアニメもやられているのも知っていました。その後に『まどか☆マギカ』のブレイクがあって、これは、すごい!って。(笑)この作品を準備している間にビッグになられました。

―虚淵さんにとって東映アニメーションはどんな存在なのですか?

虚淵
いや、全然それは意識しなかったですね。むしろ新しい部署で、技術そのものから始めるということの方が大きかったです。

―逆に言えば、新しさは求められていたと思いますが、その新しさはどこで表現すべきだと考えたのですか?

虚淵
求められていたのは映像の技術としての新しさだったので、話そのものはむしろ王道なものを提示しなければ駄目だろうなと思いました。

fd

―キャラクターが絞りこまれています。そのキャラクターを徹底的に掘り下げています。これはどういう意図なのですか?

虚淵
2時間の映画の企画ですから、キャラクターは少なければ少ないほど良いだろうというのはありました。

―監督はどうですか。キャラクターが多ければ華やかさはより演出しやすいかもしれません。

水島
確かに僕はこれまで群像劇が多いですからね。ただプロットから初稿に至る間で、最初は70分の想定で考えていたのでそれを考えれば多くはない方がいいなというのがありました。
台詞が大事なので、これをちゃんと活かしていくことを考えると、大勢で会話を進めていくよりは、じっくり話を聞かせたいというのがありました。
ロードムービー的に町を描写する場所がありますが、モブ(群衆)は技術的な面で現場が大変でしたね。

―今ロードムービーとの話が出ましたが、本作は西部劇っぽいところやロードムービー的なところもあり、SFのノリもあります。過去の遺産をこの時代に再構成するみたいなことは考えられたのですか。

虚淵
いえ、そういうことは意識しませんでしたが、結果的にそうなったんでしょうね。

水島
打ち合わせしてるときに『マッドマックス』とか、自分たちが通ってきた作品の話はよくしていました。けれど、それはたぶん、ナノハザード後の地球をビジュアル化して、キャラクターのワイルドさをどう表現するか、といったときに、自ずと出てきた答えです。

fd

《animeanime》

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