日本アニメーション学会は2014年に新たに日本アニメーション学会賞を創設、その第1回の受賞研究と受賞者を発表した。学会賞には須川亜紀子氏の『少女と魔法 ガールヒーローはいかに受容された のか』が、特別賞には渡辺泰氏が選ばれた。日本アニメーション学会賞は、日本アニメーション学会の創立15周年を記念して設けられた。賞の目的は、アニメーション研究者の顕彰と奨励を目的としている。アニメーション分野ではこれまで作品の作り手に対する顕彰は行われているが、研究者や教育者、批評家などへの顕彰・奨励の機会は限られていた。今回の賞はそれを解消し、アニメーション分野の学術的な研究の発展への寄与を目指す。学会の会員以外も顕彰対象にするなど意欲的に取り組む。『少女と魔法 ガールヒーローはいかに受容されたのか』は、NTT出版より2013年4月に刊行された。須川氏が自身の博士論文を発展させたもので、「魔法少女テレビアニメ」という商業アニメでお馴染みの題材が、日本の少女たちのジェンダー・アイデンティティの形成過程にどのような影響を及ぼしてきたか研究する。テキスト分析とオーディエンス調査の二つの方法で、総合的に分析する。日本アニメーション学会は、先行研究への十分な調査や客観的な研究手法、多角的な分析など、アカデミズムにおける研究として高い水準に達していると評価する。第1回に若手研究者を選んだことは、この賞の方向性も感じさせる。一方で特別賞では、長年のアニメーション研究の実績を顕彰する。贈賞理由を「日本アニメーション映画史』(共著)をはじめ、日本のアニメーション研究発展における、氏の永年の貢献とその業績に対して」としている。渡辺泰氏は日本のアニメーション史研究の先駆者として知られる。『日本アニメーション映画史』(山口且訓氏との共著、1977)、『劇場アニメ70年史』(1989)、『劇場アニメ公開史』(「ビランジ」竹内オサム編、1998~連載中)などの研究がある。研究やその経験、知識に加えて、後進の研究者の育成への貢献、日本アニメーション学会の創設時の尽力なども受賞の理由としている。贈賞式は、2014年6月21日に東京工芸大学中野キャンパスで開催される日本アニメーション学会の通常総会にて執り行う予定だ。日本アニメーション学会/http://www.jsas.net/ 日本アニメーション学会賞2014『少女と魔法 ガールヒーローはいかに受容されたのか』須川亜紀子・著 (2013年/NTT出版)特別賞:渡辺泰 「日本アニメーション映画史』(共著)をはじめ、日本のアニメーション研究発展における、氏の永年の貢献とその業績に対して」
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