一般社団法人 日本2.5次元ミュージカル協会代表理事 松田誠特別インタビュー | アニメ!アニメ!

一般社団法人 日本2.5次元ミュージカル協会代表理事 松田誠特別インタビュー

一般社団法人 日本2.5次元ミュージカル協会の仕掛人、ネルケプランニングの代表取締役松田誠さんにお話を伺った。協会設立のきっかけは2013年のことだという。

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2.5次元ミュージカル、これこそが日本が誇るオリジナルミュージカル!
[取材・構成: 高浩美]

■ 海外の人たちから“これぞ日本のオリジナルミュージカル”と教えられました。

この春に一般社団法人 日本2.5次元ミュージカル協会が設立された。2.5次元ミュージカルとは、アニメ・コミック・ゲームをライブエンターテインメント化したものの総称である。このジャンルは近年、急速に右肩上がりに伸びている。
2010年は30本強、2011年は震災の影響もあり、公演本数は29本に落ち込んだが、翌年の2012年は58本、昨年の2013年に至っては70本もの公演が制作された。観客動員数も2011年は約57万人に対して、2013年は約160万人動員、大きく数字を伸ばしている。

そもそも日本ではライブエンターテインメント、とりわけ演劇はビジネスになりにくいと言われてきた。それは欧米のようなロングランシステムがなかったことに由来する。限られた期間でビジネスを成功させねばならない。しかし、近年は劇団四季のように専用劇場を建設し、ロングランシステムを成功させる、といった状況も生まれている。また、時代の流れも以前とは風向きが変わってきた。インターネットやゲーム、ソーシャルネットワーキングが発達し、その反動として“リアル”の希少性や価値を再認識する動きがある。そういった観客の趣向がこのジャンルを“後押し”している。
また、アニメやコミック、ゲームで育った観客にとっては自分の好きなキャラクターが舞台に存在する、といった感動がある。演劇に興味がなくても好きな作品やキャラクターが舞台になれば素直に嬉しいし、楽しい。それが次につながっていくのである。

そういった時代の流れもあって、一般社団法人 日本2.5次元ミュージカル協会は発足した。その仕掛人はミュージカル『テニスの王子様』のプロデューサーであり、ネルケプランニングの代表取締役松田誠である。協会設立のきっかけは昨年のことだそうである。

「昨年、韓国の方々がミュージカルの研修目的で来日され、彼らと話をする機会があったのですが、皆さん、日本はミュージカル大国みたいなイメージを持っている。そんな時に、“日本のオリジナルミュージカルって何ですか?”と聞かれたんです。それに対して“うーん、なんだろう?”と考えましたが、“ないです”と答えてしまったんです。ところがその後、ミュージカル『黒執事』を観劇してもらったところ、目をキラキラさせながら“すごく面白かった!これこそ日本のオリジナルミュージカルじゃないですか!”って面と向かって言われたんですよ。それまでは自分自身、これは既存の演劇やミュージカルとは別のジャンルっていう認識だったんですが、彼らにそう言われて、改めて “本当にそうだな”と。だったらこれこそ、日本が誇るオリジナルミュージカルとしてきちんと売っていくべきだし、それをやっていくのは自分なんじゃないかなと(笑)。」

灯台下暗しとはよくいったもので、思わぬところから気づかされることは多々ある。
「日本のアニメやコミックのミュージカルを海外でやれないかなという気持ちはずいぶん前からありました。2008年に初めてミュージカル『テニスの王子様』を韓国と台湾で上演しました。もちろん、興行的に成立させるのは難しいとは分かっていましたが、まず、日本のアニメやコミックのミュージカルを海外でやるということにプライオリティがありました。しかし、その後、いろんな国の方々とお話させていただいて思ったのは、この面白いジャンルを世界にアピールするのは、民間の会社が1社では現実的には無理だということ。もっと大きい視点で考えていかないといけないな、と。」

日本の演劇、しかもオリジナル作品での海外公演といえば、演劇祭招聘などの国際親善の色が濃い。かなり前から宝塚歌劇団や劇団四季などは海外公演を行ってきているが、そのほとんどが“文化交流”であった。
そういう意味においては、この協会の主要な柱である“ビジネスとしての海外進出”は画期的である。
「当初、2.5次元ミュージカルだけを制作する会社を作るという方法も考えたんですが、やはり、もう少し大きな視点で考えた方がいいんじゃないかと。というのは、海外への展開や国内での市場のさらなる成長を考えた時、ビジネスとは切り離して考えなければならない部分がどうしてもあると思ったんです。そう考えると、営利団体ではない“協会”という形がいいなと。2.5次元という言葉はファンの間で生まれたものだし、ファンの間では既に浸透していますが、この言葉をもう少しポピュラリティのあるものに進化させていくためにも、“2.5次元ミュージカル協会“ってとてもいいネーミングだと思いましたし、この言葉を使うことによって”2.5次元ミュージカル“が一般的になり、普及していったらいいなと」
《animeanime》
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