2014年4月19日より公開中の『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』が好調だ。「面白い!」と口コミで評判が広がっている。
長編アニメ監督に初めて挑んだ高橋渉監督インタビュー、後編はクレヨンしんちゃんの楽しさや映画ならでは作品づくりについて伺った。
[取材・執筆=川俣綾加]
*「高」の字は本来は、「はしごだか」になります。

劇場版『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』
http://www.shinchan-movie.com/

―アニメ!アニメ!(以下、AA)
演出などで苦労したシーンはありますか?

―高橋渉監督(以下、高橋)
ロボひろしとしんちゃんやみさえが初めて対面するシーンはすごく気をつかいました。みさえは怖がって、しんちゃんは喜び、ひろしは戸惑いかつ悲しみを。その上でいつもの野原一家であると表現して、観ている人に楽しんでもらわないといけないのがとても難しくて。今でも「ちゃんと上手くできてるかな」と不安になります。

―AA
もう一つ、すごく印象に残っているのが巨大ロボのクライマックスのシーンです。

―高橋
あのシーンは湯浅政明さんにコンテの段階からお願いしています。最初は1分くらいの別のシーンをお願いするつもりだったのですが、やっぱり湯浅さんにやってもらうなら…となりまして(笑)
こちらは概要とプランニングだけ渡して、それをもとに自由にやってくださいという感じでお願いしました。ボリュームもあったのですがそこは湯浅さん。これぞアニメーションといえるダイナミックな仕上がりになりました。是非劇場の大画面でご覧になっていただきたいです。

―AA
声優としてコロッケさんが出演されていますが、物語にとても大きな影響を及ぼしていますよね。

―高橋
前作の「映画クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル!!」でも下町コロッケどん役で出演していただいたのですが、一作だけなんてもったいない!
僕の子供の頃のヒーローですから。本当に声の演技も素晴らしい方なんです。収録時にも沢山のアイデアをいただきました。あれだけのキャリアがありながら新しい笑いを追求し続ける姿勢に感銘をうけました。本物のエンターテイナーに出演していただいたことは映画にとっても自分にとっても大きな刺激になりました。

―AA
「クレヨンしんちゃん」は1992年の放送スタートから今年で23年目、劇場版も22作目と、とても長く支持されている作品だと思います。ここまで愛されるようになったその秘訣や工夫について教えていただけますか。

―高橋
実は子どもの頃にテレビで見ていて、近所の子がしんちゃんのマネで生意気な口をきいているのを見て「なんて不健全なアニメなんだろう」なんて思っていたんですよ(笑) まさか監督やるとはあの頃は夢にも思わなかった。
放送中のTVシリーズもそうですが、流行りのものやその時に起きてる社会問題をどんどん取り入れて、「時代から遅れない」「外れない」「偉ぶらない」のがいいんじゃないかなとみんなと話したりしています。節操もなくというか、貪欲にというか、何でも取り込んでいくみたいな。原作の臼井儀人先生もそういったスタイルだったと思いますので、それが秘訣かもしれません。

―AA
時代性を取り込んでいける下地がある作品ということですね。

―高橋
そうですね。上品も下品もごちゃまぜにできるギャグ作品ならではの強みです。

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―AA
子どもに伝わる、子どもが見て楽しめるように作るという面で難しさはありますか?

―高橋
よく「子どもには難しい」「子どもには分かりにくい」とか聞きますが、子供は好奇心と探究心の塊です。表現を噛み砕くことは必要ですが、少々難しいお話でも子どもなりに解釈して理解してくれるはずです。実は簡単なものほど子どもは飽きてしまうのではないでしょうか。
もちろん「クレヨンしんちゃん」なのでしんのすけと一緒に遊ぶような気持ちでつくっています。「やっぱりここでひとボケ入れよう」みたいな話になるのも、スタッフ全員がしんのすけのようなイタズラっ子だからだと思います。

―AA
TV版と劇場版での大きな違いは何でしょうか。

―高橋
TV版は基本的に日常が舞台で、劇場版になるとスケールが大きくなるという違いはあるんですが、作り手としてはまた別の楽しみがあります。お祭り感覚というか、下町の江戸っ子が急にはりきっちゃうのと似たようなものです。
毎回「よし今年もきたな、やるぞ!」という気持ちになって、みんなでワッショイワッショイ、そして最後は「あー、今年も終わった!」みたいな。うん、やっぱりお祭りです。

―AA
最後に、読者にメッセージをお願いします。

―高橋
娯楽映画に対しての理想のようなものがあって、子供が大人になり、大人が子供になれるような作品にしたいといつも思っています。今回はそれを実現できたんじゃないかなと。すごくいい作品になっているので親子で観てもらえれば嬉しいです。もしかしたら、劇場で親子が逆転するかもしれません。そうなってくれたらいいな。

―AA
今日は、ありがとうございました!  

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《animeanime》