「アイデアにセンスはいらない」書評 プロデューサーが明かすテレビアニメの発想法 | アニメ!アニメ!

「アイデアにセンスはいらない」書評 プロデューサーが明かすテレビアニメの発想法

レビュー 書評

『アイデアにセンスはいらない』
ダイヤモンド社
(著者)梶 淳

テレビ朝日で長くアニメ・特撮に携わってきた著者が、その発想法をまとめた一冊。子供がよくやる思考手順を踏むことで新たなアイデアを得たり、そのアイデアをどのように組み立てていけばいいのか、そのノウハウが丁寧に記されている。具体的な実例として挙げられるのは、『ドラえもん』など著者がかかわった作品。そのため、発想術の本としてだけでなく、TVアニメの裏側を垣間見る楽しさもある。
本書は序章を含めて全部で5章。そこにアイデアを思い付き、発展させるための50の方法論が記されている。

その中で著者はまず、アイデアを得るための3つのステップを挙げている。
具体的には
(1)、●●って何なの? という問いかけを3回重ねる「なぜなにクエスチョン×3」
(2)、過去に自分が気になったものから参考になるものを探す「気になるコレクション」 
(3)、気になるテーマをいろいろな人に問いかける、「雑談リフレイン」
の3つだ。

2005年に『ドラえもん』のリニューアルというビッグプロジェクトに関わることになった著者は、リニューアルはどのような方向であるべきか、この3つのステップを使って考えをまとめていく。
リニューアルの方向性は、最終的に「リニューアルで伝えたいこと→原作者が遺した『SF(すこし・ふしぎ)テーマへの原点回帰』」「リニューアルで伝えるべき相手→この先『ドラえもん』と初めて出会う未来の子供たち」という2点にまとめられる。
では、どういう思考を経てこの結論に至ったのか。決ってしまうと当たり前にも見える結論だが、その裏に念入りな思考があるかどうかで、説得力も違ってくる。『ドラえもん』リニューアルについて考える部分は、本書前半の読みどころといっていい。

著者は同じようにこの3つのステップを使って、『クレヨンしんちゃん』のTV&映画20周年のアイデアもまとめている。こちらも「そのスタート地点から、こういうふうに発想できるのか」と驚きが多い。
アイデアが思い付いたら、次はアイデアを組み立てていく段階だ。本書の後半では、アイデアをブロック玩具のように組み立てる5つの発想法を中心に、アイデアをいかに形にしていくかが綴られている。こちらは具体例として『仮面ライダーW』が取り上げられている。

このほかにも『鳥人戦隊ジェットマン』『仮面ライダーディケイド』『機動新世紀ガンダムX』『ガイキング LEGEND OF DAIKU-MARYU』『新世界より』などがポイントポイントでエピソードを引いて言及されている。たとえば『ガンダムX』については「『ガンダムX』はファーストガンダムとはどういう『物語』だったのか? (略)という番組自体の『自分探し』がテーマでした」と記されているが、ファンならこの言い回しに二ヤリとするはずだ。
ビジネスとアニメ(特撮)の話題に興味があるであろう「アニメ!アニメ!」「アニメ!アニメ!ビズ」の読者にはぴったりの一冊といえる。
[藤津亮太]

著者プロフィール
梶 淳/1967年大阪府生まれ。1989年テレビ朝日入社後、2年目から若くしてキャラクター番組プロデュースデビュー。2005年『ドラえもん』リニューアルのほか、30作以上のアニメ特撮番組および映画作品を手掛ける。
『クレヨンしんちゃん』『あたしンち』『平成仮面ライダーシリーズ』『スーパー戦隊シリーズ』『機動新世紀ガンダムX』など、国民的キャラクター作品を主に担当。現在はコンテンツビジネス局でキャラクター作品のマルチユース戦略部署に所属。
東京藝術大学大学院映像研究科 非常勤講師(2010-2011)  

《animeanime》
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