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「華アワセ」舞台化 アクションとダンスの融合でゲームの世界が3次元に

[取材・構成: 高浩美] 『華アワセ』舞台化、スクリーンに華札が舞う、アクションとダンスの融合でゲームの世界を3次元で魅せる。女性向けゲームの舞台化はトレンド
次の新シリーズも期待

連載 高浩美のアニメ×ステージ/ミュージカル談義
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■ オリジナルストーリーでもゲーム感はそのままでも舞台ならではの工夫を凝らす、
アクションとダンスの融合で2次元を3次元に!


さて、この『華アワセ』は花札をモチーフとした“華”と“水”たちの禁断の恋物語。“華札”を用いた札遊び、“華遷”。その特殊な能力を引き出せるのは一部の能力者“華咏”のみ。彼らの多くは男性であり、学園内に限り唯一の力を持つ5人は“五光”と呼ばれ、崇められている。この作品は稀有な才能・人材を輩出する華遷国立学園を舞台に繰り広げられる“五光”を目指す男性たちと彼らに身を捧げる乙女の物語である。

今回の舞台はオリジナルストーリー。女性は一切登場しない。学園の女子は全員みそぎに出かけているといて留守、というところから始まる。
オープニングはいきなりバトルシーンが展開され、タイトルロールがスクリーンに映し出される。それから物語が進行していくパターンである。アクションとダンスの融合でバトルを見せるが、これがなかなか見応えあり。スクリーンには華札が舞い、それぞれのキャラクターの技をわかりやすくしているので、ゲームがイマイチわからなくても感覚的につかめるように工夫されている。

五光と呼ばれるキャラクターはそれぞれの役割をきちんとわかりやすく演じており、“ゲームならでは”感があって2次元~3次元の移行もスムーズ。いろは演じる中村誠治郎、甘党だが無愛想という設定なので、甘いものが手放せないシーンはちょっと笑える。ゲームにはないオリジナルキャラクターも登場し、単純な舞台化ではなく、舞台だから、という工夫もあり、いい感じに仕上がっていた。
いわゆる“悪役”はコイン役の八木将康(劇団EXILE)はちょっと狡猾さを滲ませた役作りがいかにも悪っぽくてストーリーのアクセントになっていた。
また、学園の教師・斧定九郎役の安居剣一郎はいい加減風に見えて本当は……なキャラがちょっと思わせぶりで面白さが出ていたのが印象的だった。実はこの斧定九郎〈注〉は『仮名手本忠臣蔵』の5段目に登場するキャラクターの名前。このキャラを知っていると面白さは倍増すること、請け合いである。
オリジナルキャラクターの紫苑もゲームにいそうな感じのキャラクターで違和感もなく、逆に舞台ストーリーがゲームになったらそれも面白いかも、と思わせてくれる。

ゲネプロ後、会見が行われた。演出家の西森英行は「原作のキャラクターが魅力的なんですね。とにかく稽古場では“やりこめ”と“考えながら創っていこう”と。原作のキャラを3次元でやってもらう、見えないものを形にする、ゲームのファンの方々はもちろん、知らない人にも知ってもらうように丁寧に創っていこうと。チームワークも含めて観ていただきたいです」と語ってくれた。
最後は登壇者全員で「『華アワセ』、是非ご覧下さい!」とシメてくれた。カンパニーのチームワークも良く、上演時間約100分でノンストップ、スピード感もあり、エンターテインメント性の高い舞台、気負わずに『華アワセ』の世界に浸れそうだ。

〈注〉斧定九郎 『仮名手本忠臣蔵』の5段目に登場する。斧定九郎は悪党である娘が惚れた男のために身を売って得たお金を娘の父親を殺して奪い取ってしまう。ところが、彼はその後、娘が惚れていた男(勘平)に猪と間違われて撃ち殺される。そもそも斧定九郎は家老の息子で、落ちぶれて山賊のようないでたちであった。が、江戸時代に初代中村仲蔵がこの役をつとめた時に美しい強烈な色悪なキャラクターにして好評を博した。
花札で「猪」と言えば7月の「萩と猪」の札で、斧定九郎と小野道風の姓名はどちらも「おの」。つまり、性が同じなので、明治時代に小野道風と入れ替えたと言われている。また、小野道風は「秋萩帖」という書写を残しているので、間違えたように変えることで猪に間違われて撃ち殺された斧九郎の死に様に引っ掛けたということである。

舞台『華アワセ』~based on 『華アワセ 蛟編』
銀河劇場
1月21日~26日
/http://butai-hanaawase.jp
《animeanime》
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