高畑勲監督の最新劇場映画『かぐや姫の物語』が、11月23日より全国公開している。多くの人にお馴染みの古典『竹取物語』が題材とあり、親子で鑑賞する観客も多い。親と子のつながり、思いについて感想を持つ人も多いようだ。そんな親世代の気持ちを体現した登場人物が翁だろう。故人となった俳優の地井武男さんが、生前にプレスコで演じたことが話題を呼んでいる。しかし、実はこの翁の声には、もう一人、別の参加があった。このほど三宅裕司さんが、もうひとりの翁の声として『かぐや姫の物語』に参加していたことが明らかになった。地井さんの声をプレスコで収録したのが2011年夏。2012年6月に残念ながら地井さんは亡くなった。ところが映画の完成が近づいた2013年夏にセリフの変更や息づかいの声を調整、アフレコ収録が必要になった。制作陣は地井さんが出演した作品から音声を抽出する手法を検討したが上手く行かず、温かみのある声の再現方法に悩んでいた。その際に、三宅さんの名前が高畑監督から上がり、新たに三宅さんの声を翁に起用する案が浮上した。三宅さんは突然の依頼に「地井さんが真剣に強い思いで取り組まれ、更に映画として遺作となった作品に自分の声を重ねるなんて…」と戸惑う思いもあったとのことだ。だが、自身も大病での入院から復帰できたことや生前に様々な場面で声をかけてくれた地井さんへの感謝の気持ちが重なり、今回の役を引き受けた。当初は、三宅さんは、自分の名前を公表しないことを望んでいた。しかし、スタジオジブリからの「映画の記録として三宅さんの名は残したい」と提案を受け、エンドロールにのみ「三宅裕司(特別出演)」と載せることになった。その後、映画を観た観客から演じた役柄への問い合わせが寄せられたことから、情報の公開が決まった。実際に三宅さんの声が採用されたのは、夕暮れの竹藪の中でかぐや姫を必死で探すシーン「どこへ行ってしまったんだよー。おーい、姫よー」というセリフ、姫が月へ帰ってしまい泣くシーンの息づかいなどだ。計6シーンを熱演した。高畑監督は三宅さんの声を「誰が聞いても違和感がない。地井さんそのものだ」と大満足したという。アフレコはたった10分で終了したが、誰もが共感する愛しい翁が完成することになった。[高橋克則]『かぐや姫の物語』/http://kaguyahime-monogatari.jp/[コメント]三宅裕司さん「地井さんにはずいぶんお世話になっていましたので、これで恩返しができたかなという気持ちが強いです。その気持ちが大きくて今回の件も引き受けさせていただきました」地井武男さん事務所「三宅さんのお力添えで仕事を全う出来た事に安堵し、感謝しております」
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