「ファンタジスタドール」は“シンプル イズ ベスト” 谷口悟朗クリエイティブプロデューサー インタビュー 第3回

インタビュー ビジネス

[インタビュー取材・構成:数土直志]

TVアニメ『ファンタジスタドール』
公式サイト 
/http://www.fantasistadoll.com/

■ 「シンプル イズ ベスト」

-- 『ファンタジスタドール』はシンプルな作品と考えていいですか。

―― 谷口悟朗さん(以下谷口)
そうですね。基本、フォーマットに戻りましょうということです。
「シンプル イズ ベスト」。
変化球を入れること自体は否定はしませんが、変化は基本があってのものです。基本が分かっているから変化が楽しめる。

アニメを観慣れている人からすれば、本作品を物足らなく思う時もあるでしょう。それはその人がいろいろなタイプの作品を知っているからそう感じるわけです。それ自体を否定はしません。でも、同時に裾野も広げねばならない。
もっと普通の中学生や高校生、大学生が楽しめる作品、まだアニメファンとはいえないかもしれない、ライトオタだったり、ライトオタ一歩手前かもしれないその人たちに届く作品を作らなければいけません。その人たちにそうした作品の先に、それとは違う作品があると導いてあげられないんです。

-- 『ファンタジスタドール』は、そんなきっかけになりえると。

―― 谷口
アニメーションをどういうかたちで楽しむかと考えた時に、最初は未就学児童、つまり小学校に上がる前、『アンパンマン』ですとか『しまじろう』から始まって、小学校に入ったところで『プリキュア』ですかとか『ドラえもん』であったりを観ている。もしかしたらそこに『ワンピース』だったり、『トリコ』が入るかもしれません。
そうしていくうちに、中学生、高校生、大学生や社会人になっていく過程でアニメーションから離れてしまう人が多い。私たちがやっている事はお客さんあっての物ですからね、1回離れたところをもう一度寄せてあげなければいけない。その寄せつけるのがいきなりマニアックだと来づらいですよね。

-- 文脈が分からない?

―― 谷口
そうです。飛び過ぎてしまいます。マンガであれば、そこはある程度入門的な雑誌だとか、ライトオタ向け雑誌だったりがうまいこと分布が出来ています。ゲームとか小説だってそうです。でも、テレビアニメは放送時間とか放送形態、原作との関係などで大きな流れを作ることがなかなか難しい。
なら、やれる機会にやるしかない。クールジャパン構想みたいな官民学の動きとは別に、小さいけれど流れをつくろうとする志はあってしかるべきと思っているわけです。そうしたポジショニングとして『ファンタジスタドール』を考えているわけです。
その文脈で考えた時に、谷口が監督をやってはだめよと。そう考えていただけると分かりすいはずです。
そうそう、入門編としても使えるけれど、アニメを観慣れている人も楽しめるようにできています。なので、まずは観ていただけるとうれしいです。

―― 谷口
王道はどういうものかというと、みんなの心の中にある王道です。人によっては、それはクリィミーマミ的なものかもしれません。人によってはミンキーモモ的なものかもしれません。でも、クリィミーマミとミンキーモモは違うじゃないですか。それはそれぞれの心の中にある王道なのかもしれませんね。
そうした違いを持ち寄ることが集団作業の面白いところだろうと思うんですよ。そういうことで出来るニュースタンダードが面白いなと思っています。

abesan


-- 今回のみどころというのはありますか。

―― 谷口
いくつかありますが、注目してもらいたいのは、役者さんです。大橋さんをはじめとして若手から中堅、ベテランまで配置しています。名塚さんとか大原さん、倉田さん、それに保志さんや津久井さんまで協力してくれたので面白いバランスになったんじゃないかなと思っています。そのチームワークを見ていただければと思います。
あと音楽の高梨さんです。これまでのキャリアのなかから出て来るある種の安心感と冒険を楽しんでいただければ。

-- 谷口さんご自身が目指されていることはありますか。

―― 谷口
私自身の個人としての最終的な目的は、スピルルバーグみたいにいろいろやることです。ほら、スピルバーグって絡んでいる作品の全てを監督するわけじゃないじゃないですか。その作品に最もよいであろうかたちで関わる。わたしにとって『ファンタジスタドール』は、そういう挑戦をする作品です。
作品を最も理想的なかたちにするにあたり、谷口が関わる距離感はどこが良いのか。それが結果的に、作品の幅の広さにもつながるだろうと思っています。
《animeanime》

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