日本映画の海外進出 リメイクのトレンドは? TIFFCOMでビジネスセミナー | アニメ!アニメ!

日本映画の海外進出 リメイクのトレンドは? TIFFCOMでビジネスセミナー

日本貿易振興機構(ジェトロ)は10月23日「日本映画の海外進出‐輸出とリメイク」と題したビジネスセミナーを開催した。本セミナーは映像コンテンツの見本市TIFFCOM2012内の連動企画として実施された。

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左からBurzyantsev Alexeyさん、Dori Begleyさん、Roy Leeさん
  • 左からBurzyantsev Alexeyさん、Dori Begleyさん、Roy Leeさん
  • 藤村哲也さん
  • 会場の様子
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日本貿易振興機構(ジェトロ)は10月23日「日本映画の海外進出‐輸出とリメイク」と題したビジネスセミナーを開催した。本セミナーは映像コンテンツの見本市TIFFCOM2012内の連動企画として実施された。
国内外の映画や放送番組関係者が多数訪れる機会に合わせて、海外に向けた日本の映画ビジネスの情報と経験を共有することを目的としている。当日は、日本映画の配給やリメイクをした経験のあるプロデューサー等を海外から招き、現状と課題についてのパネルディスカッションが行われた。

スピーカーにはハリウッドの制作会社からRoy Leeさん、アメリカの配給会社からDori Begleyさん、ロシアの配給会社からBurzyantsev Alexeyさんを招聘した。また、司会は海外との国際共同製作に経験が深いフィロソフィアの藤村哲也さんが務めた。
会場は200名の受講者で埋まり、国際見本市らしく海外から訪れた人々の姿も確認できた。現在、日本の映像コンテンツの輸出においてリメイクが大きなトピックスになっていることを感じさせるものだ。

『リング』や『呪怨』などのリメイクで知られるRoy Leeさんは、「ハリウッドはコンテンツ探しに熱心だ」と語った。近年はマニアックな作品にも手を伸ばしており、トム・クルーズ主演で映画化が決定した『All You Need Is Kill』はその代表格だと言う。本作は日本のSF小説を原作に現在、ハリウッドで映画制作が進んでいる。
だが、多くの場合日本とのライセンス契約には長い時間がかかり、アメリカが二の足を踏む原因になっていると指摘した。

藤村さんは「プロセスが遅れて契約がなくなるのは日本にとっても損」と話す。しかし、一方で「日本側も誰に権利を預ければ安心できるのか分からない」と問題点を挙げた。
Roy Leeさんはその質問に「最も簡単なのは実績を重視することだ」と返した。現在はスタジオに対して企画を通すのが難しい時代になっているが、実績のあるプロデューサーなら映画化までたどり着ける可能性が高くなると話した。

Burzyantsev Alexeyさんはロシア国内でジブリ作品などの配給を手掛けている。海外で最も成功している日本映画の一つであるジブリ作品について「誰にでも理解できる点が魅力だ」と語った。また、様々なタイプの日本映画を配給するにはリスクの問題があり、政府や企業の支援が必要になるだろうと発言した。
アメリカで『十三人の刺客』(2010年版)をヒットに導いたDori Begleyさんは、映画公開前に実施したビデオ・オン・デマンド(VOD)が多くの売上を獲得したことに触れた。『十三人の刺客』の米国内で日本映画歴代7位の興行収入を挙げているが、VODの売上はそれを大きく上回っている。費用も配信を行うケーブルテレビ局などが負担してくれるため、最小限のリスクで済む点が魅力だという。公開前の配信は映画の宣伝にもなっているとも説明した。

また、いずれのスピーカーも日本映画というものを特別視しておらず、面白い作品だから配給やリメイクを行うと答えていた。藤村さんが「日本でのヒットが海外の展開にも繋がっていく」とコメントしたように、これからも魅力的な映画を産み出し続けることが重要になるだろう。
[高橋克則]

TIFFCOM
/http://www.tiffcom.jp/2012/jp/index.html

「日本映画の海外進出‐輸出とリメイク」
/http://www.jetro.go.jp/industry/contents/events/20120921924-event
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