映画「るろうに剣心」大友啓史監督インタビュー 「龍馬伝」監督が人気マンガの実写映画に挑む | アニメ!アニメ!

映画「るろうに剣心」大友啓史監督インタビュー 「龍馬伝」監督が人気マンガの実写映画に挑む

インタビュー

8月25日に人気マンガ「るろうに剣心」(和月伸宏)を実写映画化した『るろうに剣心』の全国公開がスタートする。製作発表以来、日本のみならず世界的に話題沸騰の注目作だ。主人公・剣心役の佐藤健さんをはじめとする豪華役者陣、生身の人間が演じるアクションシーンと見どころも満載となっている。
大河ドラマ「龍馬伝」の大友啓史さんが本作の監督を務めるのも大きな話題だ。NHKを退局後の最初の作品としてなぜ映画『るろうに剣心』なのか?映画のみどころは?大友監督にお話を伺った。


『るろうに剣心』
8月22日(水)、23日(木)、24日(金)先行上映決定!
8月25日(土)全国公開 
配給:ワーナー・ブラザース映画
/http://www.rurouni-kenshin.jp


■ 予想を裏切る作品 映画「るろうに剣心」に挑む

―― アニメ!アニメ!(以下AA)
大友(啓史)監督のお名前は、みなさんNHK大河ドラマ『龍馬伝』でよく知っています。さらに『ハゲタカ』や『白洲次郎』といった代表作がありますが、これまでは硬派なイメージが強かったと思います。『るろうに剣心』では、一転してエンタテインメント性が豊かになった様に感じられます。

―― 大友啓史監督(以下大友)
NHKにはNHKの色があって、公共放送ですからジャーナリズムがメインの価値観ですよね。そうなると社会性のあるドラマが中心になってきます。
今回、NHKを辞めたのは、もう少しいろいろなことをやりたいなという気持ちがあったからです。もともと僕のなかにはハリウッドのようなエンタテイメントを作りたいという気持ちがありましたから。いつかは腰を据えて、純粋なエンタテイメント作品に取り組んでみたいと思っていました。
いろいろな声を掛けていただいたのですけれど、そのひとつに『るろうに剣心』がありました。

―― AA
いくつかあった中でなぜ『るろうに剣心』なのですか?

―― 大友
自分自身、予想を裏切りたいという気持ちがありました。今までの作風を引きずらず、予想を裏切って、自分の作風やジャンルを広げたい。そう思って今回のお話を引き受けたわけです。

―― AA
裏切るという時に、どの方向でというのはありましたか?

―― 大友
これまでの僕の作品を観ていただいている方は、僕が『るろうに剣心』をやるなんて、すぐには結びつかないはずです。どんな作品になるだろう、と不思議に思われますよね。客観的に考えると、それが面白いかなと思いました。今まで徹底的なリアルな描写にこだわってきた大友が、『るろうに剣心』のような大人気のマンガを映像化したらどうなるのか、自分自身でも興味があり、大きな挑戦でしたね。


■ 映画の表現とマンガの表現

―― AA
今回は原作があり、かつアニメ化もされた作品です。イメージが固定化されている部分もあったのでないかと思いますが、そうした難しさはありませんでしたか。

―― 大友
それはすごくありましたね。新しいビジュアルがでるたびにすごいリアクションがありますし。

―― AA
それはこれまでのドラマとは違いますか?

―― 大友
大河ドラマ『龍馬伝』などでは時代考証を綿密にやり、取材や調査を徹底的にします。でも、逆にそこに縛られることもあるわけです。
マンガは最初からそこから解放されていますよね。単純に言えば、赤い服を着ている人斬りがいる、そのコスチュームひとつとってもリアリズムから飛躍しています。
実は、ゼロから考えると、リアルからフィクションに飛躍させ、説得力を持たせるのはもっとも難しい作業なんですね。でも、『るろうに剣心』は、もともと原作が飛躍している。自分自身の次のステップとして、とてもいい題材に思えました。

―― AA
映画とマンガやアニメとの表現の違いはどう考えられましたか?

―― 大友
原作の和月(伸宏)先生とは、基本的には二次元のマンガと映像は違うよねということについて、丁寧にお話しさせていただきました。
僕自身二次元のマンガも大好きですが、映像の場合、生身の役者が演じて、感情移入してキャラクターに魂を入れて行く。それだけでもいろいろなことが違ってきますし、まずそもそもメディア自体も違いますからね。マンガはページを戻したりしながら自分のペースで読めるけれども、映画は2時間の時間芸術ですから、時間進行に合わせて観ていかなければいけない。

先生は、映画として優れたものにしてくださいとお話しされました。僕はビジュアルで原作に似せていくという作業に特化するのではなくて、原作の持っている“不殺(ころさず)の誓い”、幕末に剣心が二度と人を斬らないという贖罪の気持ちを持って新しい時代を生き抜いていく、マンガの中で描かれているそんなドラマの部分のスピリットを大事にしようと考えました。そこは丁寧に原作に忠実に描いています。お互いにものすごくいい関係で仕事ができましたね。
和月先生に映画を観ていただいた時は、上映後は大興奮をしておられて、肩の荷が少しおりた気がしました。


■ 明治を舞台にしたソードアクション「るろうに剣心」

―― AA
今回は時代劇になっていると考えていいのでしょうか?

―― 大友
僕はスタッフには、時代劇ではないんだと言って作っていきました。むしろスタッフには「マーベルのような手触りの作品にしたい」と伝えていましたからね。明治のあの時代は洋装もあるし、侍のあり方も根本的に様式的な時代劇とは異なります。

―― AA
いままでの作品に比べてVFXを多く盛り込んでいるということはありませんか。

―― 大友
いえ、特に盛り込んではいないですね。明治時代の建物は当然残っていませんので、その建物を足したり現代の建築物を消すという作業はやっていますが、それ以外は取り立ててやっていない。
アクションシーンというか、演じている役者たちの体技自体についてもVFXはゼロといっていいと思います。みんな生身でCGはひとつもない。見ていただくと皆さんアクションは、早回しとかVFXだと思ってしまうかもしれませんが、まったく違います。
役者は2か月間練習をして、普通の時代劇なら20手とかのところを、3倍、4倍で演じています。全然レベルが違うアクションだと思って欲しい。時代劇ではなくて、新しいソードアクション、明治を舞台にした映画だと思って観て欲しいですね。


■ 原作へのリスペクト、役者の内面からのアプローチ

―― AA
役者さんについてもお伺いさせてください。今回、非常に大物の役者さんが多く出演されています。しかも、みなさん見た目というよりも、内面のところで驚くほどキャラクターの有り様を再現しています。これはどうやって可能になったんでしょうか。

―― 大友
例えば、蒼井優さんのキャストが発表された時に、似ていないという人もいるわけですよね。ところが、記者試写会など既に映画を観ていただいた方からは、元々のファンである方も含めて、ほとんど違和感がないねと言われます。
それは蒼井優さんがクランクインで言った「私たちは内面から作る仕事です」ということと、それをしっかりやり切った蒼井さんの力だと思っています。絵柄を似せるのでなく、原作の中に流れているスピリットは何かを捕まえる。役本来が持っているキャラクターの内面からしっかり近づいていけば、きちんと似て来るんですね。っていうか、ある説得力を持ってくる。僕は職業的な体験から、それを知っています。

例えば『龍馬伝』では、福山雅治さんが坂本龍馬と似ていたかどうかというと、似ていないわけです。だって実際の龍馬はあんなにカッコよくない(笑)。ところが、感情面からアプローチし、ずっとそれを演じ続けていると、雰囲気や佇まいも含めて、なんだか龍馬のような空気をまとってくるんですよね。岩崎弥太郎と香川照之さんも、似ているかというと似てないんだけど、役者的に正しいアプローチをしていくとしっかり似てくる。
僕らは今回のマンガ原作についても、そういうアプローチをしているわけです。和月先生が作ったキャラクターは、外見と内面がきちんと描かれています。例えば、香川照之さんの観柳であれば、新時代の申し子で士農工商の一番下にいたのに、新しい時代になってそれが引っくり返り、ものすごく解放された自由な気持ちになっている。そうしたキャラクターを捕まえることで、香川照之さんは観柳になっていくんです。
とにかく動いている映像を観れば、みなさん納得していただけると思っています。映像には内面が映る。役者はみんな内面からアプローチしていく。もちろん外見の工夫も忘れてはいませんけどね。

―― AA
原作に馴染んだファンでも、説得力を持てるわけですね。

―― 大友
似ている、似ていないを心配するかたもいるかと思いますが、動いている彼らを見てもらえれば、そうしたことを乗り越えて楽しんでいただけるはずです。
特に原作が好きなかた、アニメファンのかたには本当に観ていただきたい。僕たちがいかに原作をリスペクトして作っているか、たぶんそれは伝わるはずです。っていうか伝わってほしいなあ(笑)
原作は幕末から明治の新しい時代になって、そこに馴染めずに迷っている人たちの生き方をすごくしっかり描いています。それをお客様と共有出来たらと丁寧に映画として作っています。

―― AA
今後も、マンガ原作の作品を手がけることはありますか。例えば、『るろうに剣心』をもう一度手がけるという気持ちはありますか。

―― 大友
ご縁があればやりたいと思っているマンガは他にもあります。それと剣心はやりたいですね。それにはまずお客さんにたくさん観てもらわないと。
佐藤健君にとっても剣心は、生涯に会えるか会えないかぐらいのはまり役だと思います。本人も人から与えられたのではなく、幼い頃からものすごく作品が好きだった。アニメ、マンガの剣心が好きというのが彼の心にある。ヒーローだったんですよね、剣心は。彼にとって。
自分にあったはまり役が出来る、その役に出会えるか出会えないかは、役者にとっては本当に生涯あるかないかのビッグチャンスなんです。彼のためにもこれがどんどん続いて欲しいですね。もしチャンスをいただけるのであれば、日本発のアクションエンタテイメントとして、しっかりとした作品にしていきたいと思っています。是非、ご支援いただきたいと思います。


『るろうに剣心』
8月22日(水)、23日(木)、24日(金)先行上映決定!
8月25日(土)全国公開 
配給:ワーナー・ブラザース映画
/http://www.rurouni-kenshin.jp

[ストーリー]
幕末に「人斬り抜刀斎」として恐れられていた伝説の剣客・緋村剣心。
彼は明治という新しい時代の訪れとともに姿を消し、「不殺(ころさず)」の誓いをたて、
流浪人として旅をしていた。ある日、「神谷道場」の師範代をつとめる薫を助けたことから薫のもとで居候することになるが、その頃、街では剣心のかつての呼び名・抜刀斎を名乗った人斬り事件が勃発していた…。
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