「AKIRA展」 米国のマンガ博物館で開催 セル画など展示 | アニメ!アニメ!

「AKIRA展」 米国のマンガ博物館で開催 セル画など展示

米国ペンシルバニア州ピッバーク市のあるコミックスのための博物館トゥーンジウム(ToonSeum)は、5月8日から7月18日まで企画展覧会「AKIRAのアート: The Art of AKIRA」を開催する。

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 米国ペンシルバニア州ピッツバーク市のあるコミックスのための博物館トゥーンジウム(ToonSeum)は、5月8日から7月18日まで企画展覧会「AKIRAのアート: The Art of AKIRA」を開催する。この展覧会は劇場アニメ『AKIRA』にフォーカスしたもので、アニメ制作の際に使われたセル画や原画、レイアウト、背景などの展示を中心に構成する。
 アニメ『AKIRA』は大友克洋さんの同名のSFマンガを原作に、作家である大友さんが1988年に自ら監督となり劇場アニメ化した。その後映画は世界中で紹介され、アニメーション映画、SF映画の名作として広く知られるようになった。
 今回の企画展はそうした映画の魅力を多くの人に伝えるものとなる。同時に、手描きの素材を紹介することで、CGが主力となっている現在の米国の劇場アニメーションに一石を投じる狙いもありそうだ。展示品は全て個人コレクター ジョー・ピーコック氏のコレクションからのものとなる。

 トゥーンジウムは、カートゥーンと呼ばれる米国のコミックスやアニメーション文化の振興のため2007年に設立された。トゥーンジウムによれば、カートゥーンに特化した総合博物館は全米に3つしかない。サンフランスコのカートゥーンアート博物館(the Cartoon Art Museum)、ニューヨークのコミック&カートゥーン博物館(The Museum of Comic and Cartoon Art)とトゥーンジウムである。
 しかし、その運営は決して楽なものでないようだ。今回の展覧会開催にあたっても、運営維持のための寄付金集めが行われ実現に漕ぎつけたいきさつがある。

 一方で、今回の「AKIRA展」のような、アニメの制作素材である原画やセル画、背景を中心に組み立てる展覧会は、近年、次第に注目を浴びつつある。2008年にはフランクフルトのドイツ映画博物館で『アニメ!ハイアートからポップカルチャー: ANIME! High Art - Pop Culture,』と題された企画展が行われ『ドラゴンボールZ』や『GHOST IN THE SHELL /攻殻機動隊』、『もののけ姫』、『美少女戦士セーラームーン』などのセル画400点が展示され話題を呼んだ。この展覧会は2009年5月には、米国・ビバリーヒルズの米国映画芸術科学アカデミー本部アカデミー賞ギャラリーに巡回し、ここでも注目を浴びた。
 また、2009年9月から11月までイタリアのトリノ国立映画博物館(Museo Nazionale del Cinema Torino)にて「MANGA IMPACT」と題された日本のアニメにフォーカスした大規模な展覧会が開かれている。こちらは昨年8月に日本のアニメーションの大特集を組んだロカルノ国際映画祭と連動した企画である。ロカルノでプレビューを行った後、より本格的な展覧会として開催した。過去ヨーロッパで行われた日本アニメーションの展覧会では最大規模のものだ。

 興味深いのは、いずれの展覧会もアニメのセル画や背景などアニメの制作素材が展示の中心となっていることである。そうしたアイテムは、アニメ作品と同様に海外のアニメファンの心を捉えるものとなっている。
 また、今回の「AKIRA展」と同様に、展覧会の出品物の大半は欧米のコレクターの協力によるもので、そのほとんどは個人コレクターが保有している。DVDやフィギュア、キャラクター商品だけでなく、アニメの制作素材が欧米の熱心なアニメファンに人気を呼んでいるという、近年の日本アニメを取り巻く意外な事実も垣間見せている。

トゥーンジウム(ToonSeum) /http://www.toonseum.org/
「AKIRAのアート: The Art of AKIRA」 /http://blog.artofakira.com/
《animeanime》
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