細田守監督と片渕須直監督 ふたつの劇場アニメとロケハン | アニメ!アニメ!

細田守監督と片渕須直監督 ふたつの劇場アニメとロケハン

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 アニメとロケーションハンティングが注目を集めている。ロケーションハンティングと言えば、実写映画の撮影というイメージが強いが、近年はアニメ制作におけるロケハンが取上げられることが増えている。
 なかでも映画のロケハンを通じた地域活性化を目指すジャパン・ロケーション・マーケットは、昨年よりジャパン・アニメコラボ・マーケットや全国フィルムコミッション・コンベンションと協力しながら、アニメのロケハンについてたびたびシンポジウムやセミナーを開催している。

 10月22日に行われた「アニメーションmeetsロケーション ヒットアニメに学ぶ ロケハン術!」もそうしたひとつだ。今回は、アニメ製作会社マッドハウスが製作したふたつの劇場アニメが取上げられた。 
 ひとつは、この夏劇場公開され大ヒットとなった細田守監督の『サマーウォーズ』、もうひとつは11月21日に劇場公開される片渕須直監督の『マイマイ新子と千年の魔法』である。作品の舞台となった信州上田と山口県のフィルムコミッションの担当者と監督がそれぞれロケハンの方法について語った。

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 最初は上田市をモデルにとった『サマーウォーズ』である。街から写し取ったかのようなシーンが、映画の中には次々に登場する。その舞台となった場所のロケハンの実際を次々に紹介して行った。
 細田監督は、昔のアニメは現実にない創造力を広げるものだった、しかし今はリアリティさが求められるようになって来ていると話す。だからロケハンの重要性が増しているのだという。一方で、一見は忠実だけれど、実は嘘をついているアニメならではのロケハンの違いにも目を向けさせる。
 
 講演後の質問では、現実と対応するネットの世界「オズ」のモデルについても質問があった。それについて細田監督はMixiがモデルのひとつになっていると話した。
 しかし、他方で、ネットの世界についてはあまり調べていないとも語った。想像の世界を描くより、現実の世界をリアリティを持って描くことのほうがより難しい、そんなことを感じさせるやりとりだった。

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 一方、片渕須直監督の『マイマイ新子と千年の魔法』の特徴は、作品が作家 高樹のぶ子さんの自伝的小説を原作にしている点である。すると一見は、高樹のぶ子さん故郷 山口県防府の現実にある姿をそのまま写せば良いように見える。ロケハンの結果をアニメに移し替えるのは、難しくないように思える。
 しかし、それは間違いだ。実際に映画の舞台となるのは、昭和30年代、いまから40年以上昔である。このため映像化にあたっては、実際にロケーションハンティングした土地の時計の針を戻さなければいけない。実はSFファンタジーでもある『サマーウォーズ』以上に、様々な点で作品の舞台を創造しなければいけない。

 ところが片渕監督は、この作業を執拗なロケハンと調査で見事に成し遂げた。セミナーでは監督がいかに、モデルとなった場所を突き止めて、大量の資料を集め、さらに昔本当に存在したであろう景色を再現していったかを語った。
 例えば、現在と過去の航空写真を使い、町の変遷を追う方法は、さながらスパイ映画のようですらあった。アニメの制作から離れても興味深いものである。その結果、映画の中に登場した景色は、作者が360昔と同じと感激するほどまでの再現に成功した。
 映画ではさらに1000年前の防府も登場するが、こちらのロケハン、取材も同様だ。おそらく1000年前に、映画のとおりの景色がそこに存在したと感じさせる説得力のある絵となっていた。

 両監督の講演いずれからも感じられたのは、アニメという絵空事だからこそ、説得力とリアリティのある舞台が必要なことである。そして、そのためにロケハンが行われる。
 そして、映画やテレビドラマのロケハンと異なるのは、そうして得た風景をさらに監督をはじめとする制作者たちが、様々な加工を施していることだ。アニメのロケハンは現実プラス想像力の世界である。
 だからこそアニメに登場する土地は、観るものにより魅力的に映るのかもしれない。アニメの舞台となった場所を実際に訪れるいわゆる聖地巡礼ブームも、そうしたことが背景にあるのではないだろうか。

アニメーションmeetsロケーション ヒットアニメに学ぶ ロケハン術!
/http://wp.j-lm.com/?p=55

『サマーウォーズ』 公式サイト /http://s-wars.jp/
『マイマイ新子と千年の魔法』 公式サイト /http://www.mai-mai.jp/
《animeanime》
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