アヌシー国際アニメーション映画祭が今年も6月8から13日まで、フランスで開催された。世界に数多くのアニメーション映画祭が存在するが、アヌシーの存在は格別だ。 世界最大、今年で49回目という歴史の長さだけでなく、映画祭で賞を受賞してきた作品と作家たちのリストこそが、アヌシーを特別なものとしている。それは古今東西の才能あるアニメーション作家のリストである。 それだけに毎年アヌシーに応募する作品の数は多い。今年は1855本の応募作の中からそのおよそ1/10あまりの192本が公式作品に選ばれた。 コンペティションへの選出は、さらにハードルが高く、2009年は日本からはテレビアニメ部門に『ソウルイ-ター』、『うちの3姉妹』、短編部門に長尾武奈さんの『チェーンソー・メイド』、学生部門に松田美那子さん『日まわり草』と奥田昌輝さん、小川雄太郎さん、大川原亮さんらの『オーケストラ』が選ばれたのみである。個人作家の作品は3作品のみとなる。 昨年加藤久仁生さんが『つみきのいえ』で、短編部門のアヌシー・クリスタル(グランプリ)を取ったとはいえ、日本のアニメーション作家にとってアヌシーが依然難関であることが伺える。 そうしたなか今年の映画祭の学生部門(Graduation films)で、その作品『日まわり草』で見事に公式作品に選出された松田美那子さんにアヌシーの感想を伺うことが出来た。 アヌシーに作品が選ばれたその気持ちはどういったものなのだろうか。また、アヌシーは、アニメーションを作る人にとってどんな意味を持つのだろうか。 今回、松田さんが出品した『日まわり草』は、九州大学先導的デジタルコンテンツ創成支援ユニットでの修了作品である。松田さんによれば、ひまわりの種が育っていく3分ほどの作品の中で自然の繰り返しを表現したものだ。 話を聞くと単純だが、映像は水彩や色鉛筆で表現された曖昧なものが動く、独特の表現となっている。松田さんは「アニメーションを作っていたらきちん、きちんとしなければいけないプレッシャーがあったけれど、そこから自由になりたくてチャレンジした」と話す。 アヌシーに応募するきっかけは大学院の先生に薦められたとのこと、そしていろいろな作品を見たかったからだそうだ。 しかし、「実際に選ばれたのはとても驚いています。いまでも間違えだったと言われるのでないかとドキドキします」と笑う。 松田さんは「私は技術に自信がない。まだ満足出来ていない」と謙遜をする。しかし、実際には、自由になりたいと考えた中から生まれた高い独創性が、公式作品に選ばれた理由のように感じられた。 アヌシーを見て感じるのは、アニメーションの技術で考えるならば、それは最低限必要とされるものだ。逆に必要とされる技術を満たしている中から、独創性のある作品を選ぶことをアヌシーは重視しているのでないだろうか。 松田美那子さんの作品は、緻密なイラストレーションや3DCGが多いなか、これが動くの?と思わせるような曖昧な絵、境界線が不明なまま重なり合う絵が魅力になっている。一般的なアニメーションの動きに挑戦するかのようだ。 それと同時に、水彩画のような色の重なりが動くことや色彩の美しさに驚かされるのだ。これこそがアヌシーの審査員が公式作品のひとつとして選んだ理由だと理解出来るのだ。アヌシー国際アニメーション映画祭 公式サイト/http://www.annecy.org/home/index.php?Page_ID=2『日まわり草』/アヌシー公式サイトの作品紹介ページ/九州大学大学院の作品紹介ページ
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