J-POPとアニメコンベンションもテーマ TAM 2008 | アニメ!アニメ!

J-POPとアニメコンベンションもテーマ TAM 2008

 10月16日、東京・品川で「~Cool JapanとJ-Pop・J-Rock マーケット~海外ライブ公演の成功に向けて・・・」と題したシンポジウム形式のセミナーが行われた。セミナーは、10月14日から17日まで開催された第5回東京アジア・ミュージックマーケットのプログラムのひとつ

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 10月16日、東京・品川で「~Cool JapanとJ-Pop・J-Rock マーケット~海外ライブ公演の成功に向けて・・・」と題したシンポジウム形式のセミナーが行われた。セミナーは、10月14日から17日まで開催された第5回東京アジア・ミュージックマーケットのプログラムのひとつである。
 セミナーで中心となった議題は、アニメやマンガ、ゲームなどジャパニーズ・クールと呼ばれる日本のサブカルチャーを核とした新しいJ-POP・J-Rockの海外進出の潮流である。

 現在、この潮流は様々な展開を見せておりなかなか全体像を見渡すのは難しいのだが、シンポジウムの最初に大石征裕氏が行った状況解説が分かり易いだろう。つまり、かつては日本のアーティストが海外に進出する大きな努力と投資が必要だったが、現在は海外進出というよりもビジネスが広がっている感じというものだ。
 そして、かつては海外から利益は上がらなかったが、現在はコンサートで利益が上がり始めている、海外を視野に入れたビジネス展開も考えられるのでは?とも述べている。また、こうした動きは2000年頃から始まっており、先に海外に進出したアニメやマンガに続く動きとする。

 実際にアニメとマンガは、今回の大きなテーマであった。フランス ジャパンエキスポ、米国 オタコン、アニメエキスポといったアニメコンベンションの運営者をゲストに招いたのもそうした主旨である。
 そして、日本ではあまり知られていないが、そうした海外のアニメコンベンションのゲストは、必ずしもアニメとの関わりが求められているわけではない。現在アニメコンベンションのゲストには、アニメとのつながりが強くないゲストも招かれ、好評を博している。むしろ、アニメファンでない現地のJ-POPのファンが、アーティストのライブのためにアニメコンベンションに足を運ぶ例もある。

 欧米でアーティストのコーディネーションを行うヤズ・ノヤ氏は、こうしたコンベンションのプロモーション機能が、日本ではあまり知られていないとする。そのうえで認識が変わって来ている、様々なジャンルの日本のアーティストが現在、欧米に入り込んでいる状況だと話す。
 なかでもビジュアル系のバンドに勢いがあり、これはアニメがきっかけになっているとし、現地のファンは彼らに日本的な繊細さやユニークさを感じるのだそうだ。
 また、そうした人気を得たアーティスの多くは、現地でこまめにツアーを行うなど、アメリカ人と同様の地道な活動が実を結ぶ様子を紹介する。

 一方、海外からは、コンベンションオーガナイザーに加えて、ドイツで日本のアーティストをプロモートするGan-Shin(岩神)の代表らが、欧米での日本の音楽の状況やプロモーションの様子をプレゼンテーションした。
 興味深かったのはGan-Shin のMatthias Muessig氏によるJ-ROCKのムーブメントは大手レーベルの気づかれないところで広がったという指摘である。これまでの音楽や従来のシステムとは別の部分でムーブメントが起きており、国内外のメジャーには、未だにそれに気づいていない人も多いという。
 おそらく、ここで言う従来と異なるシステムとはネットであり、アニメコンベンションであり、口コミなのであろう。こうしたムーブメントは海外での初期のアニメやマンガブームの広がりとも似ている。そう考えれば、J-Pop・J-Rockが海外で新たなムーブメントを起こす可能性もあながち否定出来ない。

 またこの現状は、アニメコンベンション側からも認識されているようだ。OTAKONのChiochankitmun氏はアニメコンベンションが望むゲストは、必ずしもアニメと関係しなくても良いと断言する。そのうえで、ビッグネームのアーティストだけでなく、これから出てくる新進のアーティストにも注目としているという。
 日本と異なる日本アーティストの新しいムーブメントが、そこで起こることを念頭に入れているようだ。そして、これはアニメ・マンガから音楽、ゲーム、実写作品へとその領域を拡大する現在のアニメコンベンションのトレンドの背景にあるものかもしれない。

第5回東京アジア・ミュージックマーケット /http://tamm.jp/
~Cool JapanとJ-Pop・J-Rock マーケット~海外ライブ公演の成功に向けて・・・
/http://tamm.jp/japanese/seminar2008.html

モデレーター: 早川高志 (オリコン・リサーチ 市場調査部次長)
パネリスト(順不同)
Thomas Sirdey (Japan Expoオーガナイザー)(仏)
Jean-Francois Dufour (Japan Expoオーガナイザー)(仏)
Trulee Karahashi (Anime-EXPOオーガナイザー)(米国)
Sean Chiochankitmun (Otakonオーガナイザー)(米国)
Yaz Noya (イベントコーディネーター)(米国)
Matthias Muessig (音楽プロモーター、ディストリビューター)(独)
櫻井晋 (クリエーターズ プロデュース ユニット ゴー)
大石征裕 (音楽制作者連盟 理事長)
《animeanime》
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