講義は『宇宙戦艦ヤマト』を特集したアニメージュの紹介から始まった。『ヤマト』がヒットした歴史的背景や、第二次世界大戦の知識、戦艦大和についてなど、一つの材料からかなり詳しく解説を行う。 また、今回の講義のテーマ「オタク」の語源にもふれる。「オタクの元の意味は「YOU」で1980年代にお互いに「おたく」と呼び合っていた背景を話す。中森明夫氏のコラムや「お宅=インドア」説についても語り、オタクは英語でいうgeekともnerdとも違うニュアンスであると紹介した。 このほか、この頃のオタクの生態としてガイナックスの『おたくのビデオ』に字幕を施したものを上映した。受講生があの作品内のパロディ性をどれほどまで理解していたのかは不明だ。 さらに、1989年の連続幼女誘拐殺人事件の話や、アメリカのパーティー文化と違い、日本ではまだまだコスプレがポジティブに捉えられていないなどのネガティブなオタク歴史にもきちんと触れる。 教授の専門である現代美術史から村上隆氏のオタク観が作品にどのように現れているかについての本格的な話題があったり、マンガ『愛と誠』のエロパロ同人誌はどこがパロディになっているのかなど、日本でもなかなか聴くことができない講義が行われていた。 最後は、教授の最も好きなアニメとする『新世紀エヴァンゲリオン』が日本でいかにブームになったかの説明になった。 碇シンジのオタク性、放送同年に起きたオウム真理教のオタク性との比較まで進み、1時間30分の講義で終えてしまうにはもったいないほどの密度が高い講義だった。 その1 /http://animeanime.jp/report/archives/2008/06/tuj_1.htmlその3 /http://animeanime.jp/report/archives/2008/06/tuj.htmlテンプル大学ジャパンキャンパス /http://www.tuj.ac.jp