国際交流基金は、韓国の若手・中堅の著者・翻訳者を顕彰する「国際交流基金ポラナビ/翻訳賞」を今年から開始した。その第1回の受賞作品に日本アニメの分析・批評を行ったキム・ジュニャンさんの『イメージの帝国:日本列島上のアニメーション』が選ばれた。 授賞式は3月5日に、国際交流基金ソウル文化センターで行われた。キム・ジュニャンさんは、正賞(賞状)と副賞1000万ウォンを受け取った。 賞は毎年異なったテーマを設け、その分野で日本に関する候補作品を選び、受賞作・受賞者を決定する。日本の文化と社会に対する理解を深めることに役立つ良著の普及を促進することを目的とする。 第1回のテーマは「エッセイ・評論・伝記等」とされていたが、137冊の候補作品から3回の選考を経て、キム・ジュニャンさんが見事受賞した。国際交流基金によれば、『イメージの帝国:日本列島上のアニメーション』は、著者の問題意識の深さ、内容のバランス感覚、本の完成に費やした努力の3つの点で抜きん出ていると評価された。 本書は、2006年に韓国のハンナレ出版から刊行されている。日本語翻訳での発売されていないようだ。作品の中でキムさんは、戦前から現代に至るまでの日本アニメの歴史、アニメーションとマンガの関係、リミテッドアニメーションから歌舞伎、無国籍論といった様々観点から日本アニメの特徴を分析する。 さらに作品論、作家論を盛り込み『鉄腕アトム』から、『宇宙戦艦ヤマト』、『機動戦士ガンダム』、『エヴァンゲリオン』、『火垂るの墓 』、今敏、押井守まで幅広く取り扱われる。日本のアニメを包括的に取り扱った意欲作である。 アニメ全般について正面から取り組んだ評論、分析は、日本国内でも数が少ない。 また、内部から見た視点と外部から見た視点は、しばしば大きく異なることが多く、そうした外部の視点を知ることから得るものも多いだろう。賞をきっかけに翻訳出版の機会があることを期待したい。国際交流基金 /http://www.jpf.go.jp/j/
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