2008年のアニメ産業の行方 DVDビジネスの限界と多チャンネル化2 | アニメ!アニメ!

2008年のアニメ産業の行方 DVDビジネスの限界と多チャンネル化2

レビュー そのほか

【アニメ放映のビジネスは激変する】
 ここで話は変わる。放送局の多極化である。2011年の地上波のデジタル完全移行で、放送ビジネスの景色は劇的に変わるといわれている。つまり、12個のチャンネルという限られた枠の特権を持っていた地上波局が、その他の多くのケーブル放送局、衛星放送局と等価になる。
 しかし、その変化は2011年に突然始まるのでなく、2011年に向けて少しずつ変わって行く。2011年は出発点でなく、終着点である。だから地上波局の特権は、今後数年にわたり徐々に奪われていく。昨年、無料の全国放送としてBS11が誕生したこともそうした流れのひとつだ。また、BS11が大型アニメ放映枠を開始したこともこの流れに連動している。

 BS11のアニメ重視の戦略が成功するかどうかは今の時点ではわからない。しかし、注目すべきは、BS11がアニメを放送事業の核に据えた理由である。
 つまり、地上波並の高視聴率を狙うのでなければ、アニメは視聴者を増やす確実で安定したコンテンツという判断だ。

【地デジ時代に求められる視聴率は?】
 地上波テレビで5%、10%、20%の視聴率を求められる時に、テレビアニメは放送ビジネス向きのコンテンツでない。しかし、チャンネルが多極化して、各番組に対する視聴率の期待値が大幅に下がるなら、1%、2%の視聴率を稼げるアニメ番組は一転して魅力的なコンテンツに変わる。
 実際に、既に多チャンネル化しているケーブルチャンネルの世界では、アニマックスやキッズステーションが、視聴契約世帯数や視聴者数でトップクラスの放送局となり安定したビジネスとなっている。

 そうすれば新興の放送局のなかに、それなりの放映権料を払ってでも新作アニメを確保したいケースも出てくるかもしれない。今まで地上波局というブランドを誇りアニメの放映に波代を求めてきた地上波局も、全ての局が等価の世界では、これに対抗する必要が生じる。
 つまり、今までテレビ放送では利益が出ないとの考えが一変して、放送権料というかたちでアニメ番組が広く浅く収益を回収することになる。

 アニメの製作側にとって少し都合のよい未来図だが、2011年に向かって起こりうる幾つかの可能性のひとつである。
 一方で、現在の地上波局がニッチ市場を完全に切り捨てて、より大衆向けな番組で更なる過酷な視聴率競争に走る可能性もある。そうなれば地上波局の番組は、ニュース、スポーツ、バラエティで埋め尽くされアニメ番組の入る余地がなくなる。アニメは益々ニッチに細分化することになる。
 いずれにしても、こうした全く異なる可能性が広がるほど、現在のアニメビジネスの状況は流動的になっている。2007年の穏やかさは嵐の前の静けさだったのでないだろか。2008年は、激動に向かう最初の年かもしれない。
《animeanime》
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