「アニメビジネスがわかる」アニメ産業とお金の流れを解説 | アニメ!アニメ!

「アニメビジネスがわかる」アニメ産業とお金の流れを解説

レビュー 書評

7年ぶりのアニメビジネス読本
 この7月に発売された元マッドハウス代表取締役増田弘道氏による著書「アニメビジネスがわかる」がすごい。
 本書はアニメ産業の市場からビジネス構造、その発展史、さらに日本のアニメがなぜ海外で受けるか、問題点までを幅広く扱ったアニメビジネスの解説本である。実はアニメビジネスの解説本が出版されるのはおよそ7年ぶりである。

 21世紀に入ってから、アニメビジネス、アニメ産業といった言葉が驚くほど様々な場で語られてきた。しかし、このアニメビジネスをきちんと解説する本はほとんど存在しない。まとまったかたちでの出版されたのは2000年9月に日経BP社が発売した「進化するアニメ・ビジネス」が最後のはずだ。
 2000年以降から2007年の現在までは、アニメ産業にとっては激動の変革期であったが、この変化をフォローするべき書籍はなかった。「アニメビジネスがわかる」は、こうした2000年以降のアニメ産業の変化と流れをフォローする重要な役割を担った本なのである。またその内容は単にフォローするだけでなく、必要な範囲を網羅しつつ浅くない。

2005年のアニメ製作市場は約532億円
 本書はアニメ産業の幅広い話題を扱かっているが、一番の注目はアニメ産業に関する市場や経済の様々な数字が示されていることだ。
 アニメ業界は中小企業が多く、ビジネスの大半がインサイダーで完結することから、ビジネスの数値がまとめられたり外にでることが少ない。

  ところが本書は映画、テレビアニメ、OVAなどアニメ製作の個別の市場規模から、一次市場、二次市場、テレビ放映の市場、さらには音楽市場の売上、映像配信の売上までありとあらゆるものを数値化している。これらはアニメビジネスに関心がある全ての人にとって貴重な資料になるであろう。
 例えばアニメ製作市場の規模である。これまで、アニメの映画やテレビ、OVAの小売市場規模や玩具などのキャラクター市場規模は推計されることはあった。しかし、さらにその最初の段階にあたる製作市場の規模は全く明らかにされてこなかった。
 本書で増田氏は、それをキッズ向けのTVアニメ製作1話1100万円、青年向けは1400万円と推計することなどで、約532億円と指摘する。

 こうした増田氏の数値も推計によるのであるが、それは業界のインサイダーとしての合理的な解釈に基づくものである。またそうしたその数字を使う理由も丁寧に説明されており、それがまたアニメビジネスを解説するツールとなっている。
 そうした意味で「アニメビジネスがわかる」は、これからアニメビジネスを知りたい人よりも、むしろある程度アニメビジネスに知識がある人に向いているかもしれない 

「アニメビジネスがわかる」
これまで明らかにされてこなかったアニメの『お金』の全貌を詳細な数字とともに解き明かす
著者: 増田弘道
NTT出版
定価:1800円+税

増田弘道氏BLOG「アニメビジネスがわかる」 /http://anime.typepad.jp/blog/

《animeanime》
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