アメリカのカートゥーン情報サイトのToonZoneは、7月21日のニュースでアメリカのアニメ流通企業のファニメーションが8月に『クレヨンしんちゃん』を大手アニメケーブルチャンネルのアダルトスイムでテスト放映する見通しだと報道している。 『クレヨンしんちゃん』は、日本では1992年の放映を開始された人気マンガを原作としたアニメである。これまで英語版はカリフォルニアにあるPhuuz Entertainment, Inc.が制作している。 しかし英語圏ではイギリスとアイルランドのFOXキッズで放映されたのみでアメリカではリリースされていなかった。 ファニメーションは今年初めに『クレヨンしんちゃん』のライセンスを獲得し、2007年にDVDの発売を予定している。今回のテスト放送で、テレビ放映の可能性も探っているようだ。 これまで日本の大衆向け・ファミリー向けのアニメは、国内では人気が高いが海外では日本ほど人気が出るケースは少なかった。例えば、『サザエさん』は、海外でほとんど紹介されておらず知名度もほとんどないだろう。 より子供向けの『ちびまる子ちゃん』や『ドラえもん』もアジアでは人気が高いが、欧米ではそれほど人気があるといえない。こうした作品は、海外、特に欧米諸国に馴染みの少ない日本文化に根ざしていることが理由と言える。 『クレヨンしんちゃん』も、日常的な日本文化が大きく反映した作品である。こうした点は、欧米市場に喰いこむには障害の高い作品である。 にもかかわらず、『クレヨンしんちゃん』は、スペインなど一部のヨーロッパで大きな人気を獲得している。今回の試みは、そうしたヨーロッパの実績を念頭に入れたものだともいえる。 しかし、そうなると今回問題のなるのは作品の放映時間である。テスト放送とはいえ、大人向け深夜帯のアダルトスイムでの放映に不安がある。『クレヨンしんちゃん』は、明らかに学童向け作品なので、例えテストだとしても本来の視聴者層と大きくずれているからだ。 勿論、この放送時間の選択は、作品内容が子供向けの時間に相応しくないとされた可能性が高い。しかし、日本では人気が高い『名探偵コナン』が、やはりアダルトスイムで放映され苦戦していることを考えると楽観は出来ないだろう。 それがテスト放送となる理由でもあるに違いない。それだけに今回の『クレヨンしんちゃん』のアダルトスイムでの放映は、アメリカにおける日本アニメ放映の新たな挑戦でもある。/ToonZone /SDCC: Funimation's "Crayon Shin-chan" to Air on Adult Swim/カートゥーンネットワーク(米国) /アダルトスイム /クレヨンしんちゃん公式サイト /Phuuz Entertainment, Inc.
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