アニメ制作会社の値段はいくら?その2(12/23) | アニメ!アニメ!

アニメ制作会社の値段はいくら?その2(12/23)

レビュー そのほか

 何故マッドハウスの企業価値は、GDHやプロダクションI.Gより安く評価されたのだろうか。勿論、厳しい上場基準をクリアーした上場4社とこれらの企業の収益性や財務体質には、大きな差があるに違いない。
 しかし、マッドハウスを評価する時の最大の問題は、価値評価すべきものがほとんどなかった点にあるとされている。多くのアニメ制作会社がそうであるように、マッドハウスには不動産や金融資産の類があまりない。
 また、優れた作品を多く生みだしてきたが、その著作権をほとんど所有していなかった。それは、東映アニメ、TMS、GDH、I.Gとは大きく異なる点だ。
 マッドハウスの所有していたのは、「マッドハウス」というブランドとそのブランドにつながるスタッフとクリエーターのネットワークであったと言っていいだろう。

 それでは、竜の子プロダクションはどうであろうか。タツノコは、これまで制作してきた人気作品のタイムボカンシリーズ、ガッチャマン、キャシャーンといった多くの作品の著作権を持っている。にもかかわらず、タツノコの企業価値評価も低かった。
 それは、タツノコがマッドハウスとは対照的に著作権は持っているが、優れた作品を持続的に制作するスタッフとクリエーターのネットワークが弱かった点にあるだろう。
 これらの企業の例を考えると、アニメ制作会社の価値がどこから生まれてくるのかが判る。つまり、アニメ制作会社の価値が高く評価されるのは、高品質な作品を制作出来る能力と著作権を所有しているかどうかである。

 さらに注目すべきなのは、マッドハウスのクリエーターとの結びつきが企業価値評価の際に問題とされたことである。信頼関係のみで結ばれたネットワークの弱さと言っていいだろう。
 マッドハウスとつながりのある優秀なクリエーターの多くは同社の社員でないし、社員であったとしても人材流動の激しいアニメ制作の現場では、それは不安定なものである。それゆえ著作権も少なく、クリエーターとの関係が不安定とすれば、企業価値はブランド価値だけになってしまう。
 結果的に、マッドハウスは買収後も優れた作品を作り続けている。しかし、買収時点では、マッドハウスの企業価値は低評価になるしかなかった。

 アニメ制作会社の価値を高く維持しようとした時に、会社は価値ある作品の著作権を確保することと、優秀なスタッフ、クリエーターとの持続的な関係を維持することに力を注ぐ必要がある。
 ここで、敢えて触れなかった今年あった最も大きなアニメ制作会社のM&Aを考えてみたい。日本の誇るアニメブランドのスタジオジブリである。
 株式会社スタジオジブリが徳間書店から買い取ったジブリ事業部の営業権は推定150億円程度とされている。つまり、スタジオジブリの価格は先の上場4企業と並ぶ企業価値のあるアニメ制作会社といえるだろう。
 この金額にはこれまで作品の営業権しか含まれていない。しかし、株式会社スタジオジブリに出資したとされる日本テレビや電通といった会社は、スタジオジブリにおける持続したクリエーターとの関係にも投資したと考えていいだろう。つまり、スタジオジブリとは宮崎駿そのものであり、スタジオジブリと宮崎駿を中心とするクリエーター陣は不可分であるからだ。

/その3に続く
《animeanime》
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