トレーディングカードゲームのブシロードは、12月17日に新作タイトル『ヴァンガード』の今後を披露する「カードファイト!!ヴァンガード」スペシャルカンファレンスを開催した。イベントは関係者やTCGの流通・販売店、メディア向けの戦略発表の場である。会場となったTOHOシネマズ六本木 シアター2は立錐の余地もない満員となった。 コンファレンスで発表された『ヴァンガード』は、男児向けの大型タイトルで2011年に発売を開始する。今回のカンファレンスではTCG発売スタートに合わせ大会、プロモーション、イベントなど紹介し、プロジェクトの大きさを強調した。 しかし、一番目を惹いたのは、クロスメディア展開の広がりだ。すでに『ヴァンガード』のコミックが角川書店「ケロロエース」で連載を始めている。また、年明けからはテレビ愛知発のテレビ東京6局ネットで同作のテレビアニメも放映開始する。本作は主人公の少年 先導アイチがカードバトルを繰り広げる、アクションアニメだ。アニメ制作はトムスエンタテインメント、監督には辻初樹さんを迎える。 若い世代での利用が多いソーシャルメディアでは、グリー、エンタースフィアと伴に、アニメシリーズと連動するソーシャルゲームを提供する。さらに『ヴァンガード』だけに特化した情報番組をBSジャパンで開始、インターネットラジオも展開と、あらゆるメディアで商品展開をする。 これまでTCG市場の中では「ヴァイスシュヴァルツ」、「Chaos」といった比較的ニッチなマニア向けのタイトルを並べてきたブシロードだが、『ヴァンガード』では市場の真ん中である男児向けに挑む。この分野には既に『遊戯王』、『デュエルマスターズ』、『バトルスピリット』といった大手メーカーによる有力タイトルがひしめく。競争の激しい分野だ。 これについてブシロードの木谷高明社長は、「男児向けのTCGは、もう一度挑戦しようと日本初のカードゲーム専門会社ブシロードを立ち上げた時から目指していた。3年半でここまで到達出来た。ライバルは多いが四つに組んで戦う」と語った。わずか4年足らずで、TCG業界の大手企業の一角に喰い込んだ力で挑む構えだ。 2009年のカードゲーム市場は日本玩具業界の調べによればおよそ800億円近く、2006年の400億円弱、2007年の550億円弱から大きく伸びている。800億円は国内のアニメ映像パッケージ市場に匹敵する隠れた巨大マーケットである。また、北米を中心とした海外には日本を上回る巨大なTCG市場があり、その人気の中心は『遊戯王』、『ポケットモンスター』、『NARUTO』など日本のコンテンツである。 ブシロードはこうした海外の市場も視野に入れている。カンファレンスの締めくくりの挨拶で木谷社長は「カードゲームマーケット拡大宣言 ヴァンガード五箇条の御誓文」として、今後のブシロードのTCG戦略をまとめた。その中のひとつとして、「地方・海外」の市場開拓を挙げた。都心の子どもたちだけでなく、国内では地方都市、そして海外にも目を向けることでTCGの市場開拓を目指す。 同社はすでにシンガポールや英国・ロンドンのアニメイベントに企業出展し、ゲームイベントを開催している。『ヴァンガード』が海外の子ども達に認知されるのは、意外にすぐ近くなのかもしれない。ブシロード /http://bushiroad.com/カードファイト!!ヴァンガード /http://cf-vanguard.com/
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