富野由悠季監督の最新テーマは家族 『「ガンダム」の家族論』発売 | アニメ!アニメ!

富野由悠季監督の最新テーマは家族 『「ガンダム」の家族論』発売

富野監督が正面から「家族」を語った書籍が、このほど発売される。ワニブックス【PLUS】新書の最新タイトルとなる『「ガンダム」の家族論』だ。

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 富野由悠季監督は、『機動戦士ガンダム』や『伝説巨神イデオン』など幾つもの傑作アニメを創り出して来たことで広く知られている。1972年の『海のトリトン』から2000年代の『リーンの翼』まで、その作品数は多い。それらの作品のなかで、しばしば重要なテーマとして語られて来たのが、親子関係、そして家族だ。
 そんな富野監督が正面から「家族」を語った書籍が、このほど発売される。ワニブックス【PLUS】新書の最新タイトルとなる『「ガンダム」の家族論』だ。

 本書は家族論であると同時に、家族というキーワードを通じて、富野監督が世の中に対して熱いメッーセージを贈る本だ。既に結婚し、子どもいる人も多いガンダム世代に、世の在り方を問う。
 冒頭ではアニメの世界のリアリティをいかに実現するかにふれ、同時にリアリティを失ったマネー経済、ネット社会の虚構(フィクション)に言及する。そこからフィクション化している現実と戦うため、その原点としての「家族とは何か」を語り始める。勿論、多くの人が期待する富野節も満載だ。

 しかし、その語り口は決して押しつけがましいものでなく、その言葉はしばしば自身の代表作から引用される。例えば、『無敵超人ザンボット3』の源五郎という強い父親像が生れた訳、『機動戦士ガンダム』のアムロの両親テムとカマリア、『伝説巨神イデオン』で二人の娘に苦悶するドバ・アジバ、『ガンダムF91』の鉄仮面、『リーンの翼』のサコミズ・・・多様な家族が言及される。監督の考える家族、そしてそこから広がる社会が見えて来る。
 本書が面白いのは、これが富野監督の家族論、文明論であると同時に、実は作品創作の裏話的な側面もあるところだ。これまで語られて来なかった作品のアイディアがどこから来たかなど、ファンにとっては醍醐味のある読み物ともなっている。
 
 富野監督は、これまでにも小説だけでなく、エッセイ、実用書、対談集などを書いてきた。いずれも、読み応えのある書籍である。しかし、『「ガンダム」の家族論』は、そのどれとも異なった本だ。
 それだけに『「ガンダム」の家族論』は、『ガンダム』をはじめ多くの作品で日本アニメ史に大きな影響を与えた富野由悠季という大きな存在を知るうえで欠かせない書籍である。

  

『「ガンダム」の家族論』
ワニブックス【PLUS】新書
本体800円+税
《animeanime》
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