6月7日からフランスで開催されていたアヌシー国際アニメーションフェスティバルが、12日にクロージングセレモニーと共にその幕を閉じた。最終日には長編、短編のグランプリを初め、映画祭で最も関心を集める各賞が発表された。 このなかでテレビ・商業作品部門（TV and commissioned films）の最優秀ミュージックビデオ賞（Award for best music video）を日本から出品した『日々の音色』が受賞した。日本の作品のアヌシーでの受賞は、2008年の加藤久仁生監督『つみきのいえ』以来である。
2010年は日本から13作品もがコンペティション出品された。近年にない賑わいで、今年50周年を迎えたアヌシーを盛り上げた。しかし、受賞は『日々の音色』にとどまった。 一方で、長編映画部門のクリスタル賞（グランプリ）には、米国ウェス・アンダーセン監督のストップモーションアニメーション『Fantastic Mr. Fox』が選ばれた。映画は英国作家で『あなたに似た人』、『チョコレート工場の秘密』などで知られるロアルド・ダールさんの児童文学を映像化したものだ。狐の一家の暮らしを、コメディとそれに相応しい映像で表現している。同作は長編部門の観客賞も受賞した。 一方、特別賞受賞の『Kerity la Maison des contes Eleanor's Secret』（Dominique Monféry）は、フランスとイタリアの合作、夜になると本からキャラクターが飛び出してくるというファンタジー作品である。
短編部門のアヌシー・クリスタル賞（グランプリ）はAndrew RuhemannさんとShaun Tanさんによる『The Lost Thing』である。そしてノルウェーのAnita Killiさんによる『Sinna mann Angry Man』が審査員特別賞と観客賞のダブル受賞となった。 学生部門は最優秀賞をフランス・ゴブラン校の学生による『The Lighthouse Keeper』が、審査員特別賞をプドゥリェ・アニメーション映画専門学校の学生による『Sauvage』が受賞、さらに特別賞にはドイツ バーデン・ヴューテンベルク映画学校の学生による『Lebensader』が選ばれた。ヨーロッパの名門スクールが、その力をみせつけた。
クリスタル賞（グランプリ） 『Fantastic Mr. Fox』 Wes Anderson 米国 特別賞 『Kerity la Maison des contes Eleanor's Secret』 Dominique Monféry フランス、イタリア 観客賞 『Fantastic Mr. Fox』 Wes Anderson 米国
[短編映画部門]
アヌシークリスタル賞（グランプリ） 『The Lost Thing』Andrew Ruhemann, Shaun Tan 豪州、英国 審査員特別賞 『Sinna mann Angry Man』Anita Killi ノルウェー 観客賞 『Sinna mann Angry Man』Anita Killi ノルウェー
[テレビ・商業作品部門]
テレビ作品クリスタル賞（グランプリ） 『Der Kleine und das Biest Le Petit Garçon et le Monstre The Little Boy and the Beast』 Johannes Weiland, Uwe Heidschötter ドイツ 特別賞 『Dragons et Princesses "Le garçon qui ne mentait jamais"』 Michel Ocelot フランス
教育・科学・産業映画賞 『Giallo a Milano』 Sergio Basso イタリア 広告・プロモーション映画賞 『Harmonix "The Beatles: Rock Band"』Pete Candeland 英国、米国 最優秀ミュージックビデオ賞 『日々の音色』 ナカムラ マギコ / 中村 将良 / 川村 真司 / Hal KIRKLAND 日本
