2006年に米国で公開された映画を表彰する第79回アカデミー賞の長編アニメーション部門の予備選考16作品が発表された。 今年はハリウッドのメジャースタジオによる3DCGアニメーションの公開が急増したことから、候補作品には数多くの大作3DCGアニメーションが名前を連ねている。また、日本アニメで本年のヴェネチア映画祭の公式出品作品となった今 敏監督の『パプリカ』もリストのなかには含まれている。ノミネートは3作品から5作品に増加 今回発表されたのは、アカデミー賞ノミネート作品を選ぶための予備段階の候補作品である。これらの作品からノミネート作品が選ばれ来年1月23日に発表される。さらに、2月25日にアカデミー賞長編アニメーション部門受賞作品が決定する。 また、今年はメジャースタジオの大作アニメーションの公開が相次いだことから、予備選考作品が16作品となった。作品が15を上回ったことから、ノミネート作品は2002年以来4年ぶりに3作品から5作品に広がる。最有力候補は『カーズ』 この16作品のなかから実際にノミネートされるのは、どの作品だろうか。ピクサーの『カーズ』のノミネート作品入りはまず間違いないと考えてよいだろう。既に『カーズ』は、興行の成功と作品の高い評価を同時に獲得している。もし、ノミネートされなければそれが事件となるだろう。 『カーズ』について重要なのはノミネートされるかどうかではなく、ピクサーがまたもやアカデミー本賞を獲得するかである。本年のアカデミー賞長編アニメーション部門本賞の最有力候補でもある。 さらにドリームワークスの『森のリトル・ギャング』か『マウス・タウン ロディとリタの大冒険』のいずれかが(あるいは両方)がノミネートされると見られる。 昨年のアカデミー賞長編アニメーションを受賞したアードマンとドリームワークスがタッグを組んだ『マウス・タウン ロディとリタの大冒険』のほうが審査委員受けはいいいかもしれない。 残り3作品は、20世紀FOXの作品として久々に評判の良かった『アイスエイジ2』、ソニーの3DCGアニメーションから『モンスターハウス』か『オープン・シーズン』のいずれかのノミネートが順当だろう。評論家に高評価の『ルネッサンス』 ここまででノミネート5作品の枠はほぼ埋るが、ハリウッドの大作3DCGばかりが並ぶかたちとなった。枠がまだ残るか、あるいは上記の作品が他の作品にとって替わるとすればフランス作品の『ルネッサンス』が有力である。 フランスのアヌシーでグランプリを取ったこのスタイリッシュなモノトーンの映画は専門家の間で極め評価が高いからだ。作品のバランスを考えれば、『ルネッサンス』も有力候補のひとつである。 作品の毛色が異なる点では、2Dアニメーションの『おさるのジョージ』の評判も高いがノミネートの可能性は低いだろう。『パプリカ』は? 評論家受けがいい点では『パプリカ』も『ルネッサンス』と同様である。また、子供向けの作品ばかりが並ぶ候補作品のなかで、所謂映画をノミネート作品としたい審査員から支持される可能性は高い。 しかし、問題は『パプリカ』がまだ米国で劇場公開されていないことである。通常はアカデミー賞のノミネート対象作品はその年の1月1日から12月31日の間に劇場公開されている必要がある。 これまでのところ『パプリカ』の配給権を持つソニーピクチャーズは、『パプリカ』の劇場公開日を発表していない。現時点で正式な公開がない(決まってない)ことは『パプリカ』にとって極めて不利で、ノミネート入りはなかなか厳しそうである。 むしろ、来年ある程度の規模で劇場公開してから、来年の候補作品となったほうが作品のためには良いのでないかと思われる。前哨戦はアニー賞のノミネート作品 今回はノミネート作品が5作品に拡大することもあり、アカデミー賞のノミネート作品の選出は競争が激しい。このため12月4日に発表されるアニー賞のノミネート作品がアカデミー賞の前哨戦になりそうだ。 ノミネート作品選出にあたって、アニー賞の候補作品がかなり参考にされる可能性が高い。今敏監督の作品では、これまで『千年女優』がアニー賞のノミネート作品になっている。第79回アカデミー賞長編アニメーション部門(予備選考作品)『/The Ant Bully』『/アーサーとミニモイたち』『/Barnyard』『/カーズ』『/おさるのジョージ』 『/Everyone’s Hero』 『/マウス・タウン ロディとリタの大冒険』『/ハッピーフィート』『/アイスエイジ2』 『/モンスター・ハウス』『/オープン・シーズン』 『/森のリトル・ギャング』『/パプリカ』『/ルネッサンス』『/スキャナー・ダークリー』『/The Wild』 /アカデミー賞《追記》アカデミー協会によれば『パプリカ』、『アーサーとミニモイたち』、『ハッピーフィート』の3作品は、12月末日までに劇場公開されなければリストからはずされることになる。また、それにより予備候補作品が15以下になった際は、ノミネート作品は3作品に減らされることになる。
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