10年前、2007年のアニメ文化圏を振り返る ~らき☆すた、グレンラガン、School Days、電脳コイル~ | アニメ!アニメ!

10年前、2007年のアニメ文化圏を振り返る ~らき☆すた、グレンラガン、School Days、電脳コイル~

レビュー

“アニメ映画の当たり年”が終わり、2017年も暦の上では春に入った。とはいえ、そのムーブメントを牽引した『君の名は。』はいまだ国内350館以上での上映が続いており、その興行は海外においても軒並み好調だという。
同映画は名実ともに新海誠監督の新たな代表作となったが、このヒット以前の新海監督といえば、やはり『秒速5センチメートル』の印象が強い。
“いつでも捜しているよ どっかに君の姿を”という歌詞が切ない「One more time, One more chance」に乗せて、惹かれ合っていたはずの男女に生まれていく距離感を緻密に描き出した同作が公開されたのは、2007年3月。つまり、間もなく10周年を迎えることになる。

その公開当時を振り返るうえで外せないのは、なんといっても動画サービス「ニコニコ動画」のブームだ。
キャッチーな「もってけ!セーラーふく」で視聴者を釘付けにした『らき☆すた』は、その中毒性のあるOPや劇中の多彩なパロディによって、同サイトでも特に人気を博していたアニメといえる。作品舞台のひとつとなった鷲宮神社は翌2008年の初詣客が17万人も増えたといい、同作は「聖地巡礼」の先駆けとしても大きな影響を残している。
このほか劇中の展開とシンクロする主題歌「アンインストール」が涙を誘った『ぼくらの』、ED「STAR RISE」が空耳歌詞で人気となった『バンブーブレード』、放送中止の代替映像に対する「Nice boat.」のコメントが刺激的な内容とともに話題を呼んだ『School Days』なども、2007年の放送時に同サイト内で盛り上がりを見せていた作品だ。声優陣の熱演でキャラクターの個性が際立った『みなみけ』やEDのダンスがかわいい『こどものじかん』あたりも、ニコニコ動画によって人気に拍車の掛かったアニメとして数えられるだろう。
また釘宮理恵が“ツンデレ”なヒロインを演じた『ハヤテのごとく!』、『ゼロの使い魔~双月の騎士~』、『灼眼のシャナII』も全て2007年に放送されているだけに、同サイトにおける“釘宮病”の流行に一役買ったといえるかもしれない。

この年にOVAと劇場作品が展開した『アクエリオン』シリーズは、タイアップした企業のCMで主題歌「創聖のアクエリオン」とともにキャッチコピーの「あなたと合体したい」が繰り返し流されたことで、ネットだけに留まらない反響を呼んだ。
2007年にはこういった“ワンフレーズ”が印象的なアニメも多く、「おまえを信じる俺を信じろ!」と勇気づけるカミナが熱い『天元突破グレンラガン』を筆頭に、糸色望の「絶望した!」がこだまする『さよなら絶望先生』、瀬戸燦の「任侠と書いて人魚と読むきん!」が決まっていた『瀬戸の花嫁』、刹那・F・セイエイの「俺がガンダムだ!」が強烈な『機動戦士ガンダム00』、オリゼーら菌たちが「かもすぞ」を口癖にしていた『もやしもん』といった作品は、いずれもその一言で内容まで想起できるほどのインパクトを残している。人の声を使った「ざわ・・・ざわ・・・」や立木文彦による迫真のナレーションが耳に残る『逆境無頼カイジ』も、ともすればここに加えられそうだ。

そして完成度の高さから、10年を経てなお根強い人気を誇る作品が豊富なことも2007年のアニメの特徴だ。「電脳メガネ」の映し出す非現実とそれに影響されていく等身大のこどもたちが興味を誘う『電脳コイル』、ハイセンスなOPと散りばめられた伏線の回収が気持ちいい『バッカーノ!』、試合展開や選手心理をどこまでも丁寧に描いた『おおきく振りかぶって』などは、良作として今もって名前を聞く機会の多いタイトルだろう。Keyの同名“泣きゲー”をアニメ化した『CLANNAD』もその出来の良さから「人生」と評するほどの熱烈なファンを獲得しており、また『精霊の守り人』や映画『河童のクゥと夏休み』といったアニメも、その繊細な作り込みから今なお熱心な支持を受けている。和のテイスト色濃い『モノノ怪』や『大江戸ロケット』は、独特の世界観がよく練り込まれたいぶし銀の作品だった。

最後になってしまったが、10周年といえば新たな4部作の始動を飾った『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』は欠かせない。昨年『シン・ゴジラ』で社会現象を巻き起こした庵野秀明監督に新たな動きはあるのだろうか。完結編を待ちわびるファンの声は、2017年も盛んに聞かれることになりそうだ。
《仲瀬 コウタロウ》
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