「この世界の片隅に」東京国際映画祭に片渕須直、のんが登壇 「普通がすごく愛おしくなる作品」 | アニメ!アニメ!

「この世界の片隅に」東京国際映画祭に片渕須直、のんが登壇 「普通がすごく愛おしくなる作品」

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映画『この世界の片隅に』第29回東京国際映画祭 舞台挨拶
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10月28日、映画『この世界の片隅に』のワールドプレミアが第29回東京国際映画祭にて開催された。上映後の舞台挨拶には片渕須直監督と主演・のんが登壇し、作品に込めた想いとロードショーに向けての意気込みを語った。

『この世界の片隅に』は2015年にクラウドファンディングで成功を収めて、映画制作の後押しをした話題作だ。会場のTOHO シネマズ六本木ヒルズ スクリーン2は完成を待ち望んでいたファンが詰めかけて満員となった。海外からの来場者も見られ、高い関心が寄せられていた。
舞台挨拶に登壇した片渕監督は「ここまで来るのに6年あまりかかりましたが、ようやく皆さんにご覧いただけるようになりました。色々と想いがこみ上げてきます」と感無量の様子。制作理由について問われると、主人公のすずが健在なら今年で91歳になると話し、彼女が生きた時代に対して確かな手応えを得たかったことを挙げた。そして「自分たちの両親がどんな時代を生きていたのかを知ることによって、やっと大人になれるのだなという気持ちがしています」と胸の内を披露した。

片渕監督は「戦争中を描いた映画やドラマはたくさんありましたが、そこで描かれている風景が自分たちからは遠いような気がしてならなかった」と疑問を抱いていたそうだ。そのため本作では本当はどうだったのか、家の一軒一軒まで丁寧に調べて当時のまま再現していった。
「そこまでして映画の中で一つの世界を作り上げたのは、自分たちがいるこの世界と陸続きであることを感じて欲しかったからです。すずさんが本当に存在しているという実感を自分たちも得たかったし、映画をご覧になる皆さんにも感じてほしかった」と意図を述べ、「タイムマシンで当時を味わってもらえるような作品」だと表現した。

オーディションの依頼を受けて原作を読んだのんは、戦時下の時代は自分たちが住む場所とは違う世界にあるのではなく、日常と隣り合わせで存在していることに気付かされたという。すずというキャラクターについては「戦争に対してあからさまに嫌悪感を抱いている人ではない」という印象から、「毎日の暮らしを一生懸命に生きている部分を意識しました」とアフレコを振り返った。
片渕監督は全編広島弁という難しい役柄を演じきったのんについて「僕は彼女のことが誇らしいです」と絶賛。自然体の芝居に手応えを得ていることが感じられた。

『この世界の片隅に』はすでに全14ヶ国での公開が決定している。世界公開に向けての心境を問われた片渕監督は、アメリカのコンベンションで「次回作の舞台は1945年の広島です」と口にした際に、観客全員が息をのんだ光景を今でも覚えていると明かす。「原爆は外国の方にとって周知のものであるだけでなく人類史的な悲劇であると、みなさんが一つの心になっているような気がします」と語り、「そこにはどんな人たちがいたのか。この映画を通じて世界中の皆さんに感じ取ってもらえればと思っています」と想いを伝えた。
最後はのんが「どんなことがあっても普通に毎日が巡ってくる。その普通がすごく愛おしくなる作品です。ぜひ映画館へ足を運んで頂ければと思います」とメッセージを送り、舞台挨拶を締めくくった。『この世界の片隅に』は11月12日全国ロードショー。
[高橋克則]

第29回東京国際映画祭
開催期間: 2016年10月25日(火)~11月3日(木)
会場: TOHO シネマズ六本木ヒルズ ほか
《高橋克則》
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