エイベックスが目指すアニメ配信ビジネス dTVとアニメタイムズが切り拓く新たな市場 | アニメ!アニメ!

エイベックスが目指すアニメ配信ビジネス dTVとアニメタイムズが切り拓く新たな市場

インタビュー

エイベックスが目指すアニメ配信ビジネス dTVとアニメタイムズが切り拓く新たな市場
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映像配信サービスが急激に普及を見せる中で、とりわけパワフルなサービスが、NTTドコモが提供、エイベックス通信放送が運営する「dTV」である。2015年4月、「dビデオpowered by BeeTV」をリニューアルしたものだ。
月額定額制の映像配信サービスのなかでは、加入数が国内最大数となる500万人を突破(2016年3月時点)するとりわけパワフルな存在になっている。また、TV視聴を可能にするアダプター「dTVターミナル」も、人気の理由のひとつである。
アニメ・マンガジャンルでは『進撃の巨人』『テラフォーマーズ』『暗殺教室』などにおける独自コンテンツが大きな話題となっている。この豊富なラインナップの実現は、リニューアルと同時期のタイミングで設立されたエイベックス・ピクチャーズと出版社などのコンテンツホルダーが共同出資するアニメタイムズ社の役割も大きい。
今回、dTVを運営するエイベックス通信放送の森下正樹課長とアニメタイムズ社の大山良副本部長に、dTVにおけるアニメの役割や配信ビジネスに対する考えなどを聞いた。
[取材・構成:細川洋平]

dTV
https://dtv.jp/

■ dTVとアニメタイムズが切り拓くもの

――エイベックスグループの映像の配信事業の要となっているdTVが、成長し会員数を伸ばし続けています。この中でアニメジャンルの役割は大きいのでしょうか?。

森下 
1位2位を争うジャンルのひとつです。もともと人気が高いジャンルであったことに加えて、dTVは今年に入ってTVデバイスへの対応を進めており、TVデバイスでも視聴できるようになったことによって、ご家族で楽しんでいただけるシーンも多くなってきました。そういう時は、アニメが非常によく観られています。アニメはファミリーと親和性が高いだけでなく、よりコアなアニメファンが増えてきていることもあります。

――dTVは2015年4月に大幅なリニューアルしました。同時期にアニメタイムズも設立され、協力をしています。アニメ作品をまとめて調達するというアニメタイムズは、実際にはどのような業務を行っているのでしょうか。

大山 
アニメタイムズはエイベックス・ピクチャーズのほか、集英社、講談社、小学館など現在14社が株主として参加していただいています。なかでもアニメコンテンツホルダー(権利者)が多数参加しているのが特徴です。
配信するアニメ作品をアグリゲート(集約)する、いわゆる調達をする役割です。総合チャンネルであるdTVのアニメジャンルの総窓口を担当しています。

――アニメを専門とする窓口ができたことでdTVに変化はあったのでしょうか。

森下 
アニメの権利元になることの多い出版社が多く参加することで、より安定的にコンテンツを提供していただけるようになりました。さらに、TV放送中のアニメ『暗殺教室 第2期』と連動した「暗殺教室 第2期 課外授業編」をdTVが独占配信したように、うちだけのコンテンツもやれるようになり、アニメタイムズが出来たことで明らかに展開が広がりました。

――dTVからアニメタイムズに要望するラインナップの方針はありますか?

森下 
dTVはアニメだけではない総合の映像配信サービスですから、みなさんが見たいコンテンツをいかに提供するかがポイントです。アニメであれば、家族で楽しんでいただける作品や、大人の方がもう一回見てみたいなあと思う過去の人気作を、話題性や認知度の高さなどの点から相談しています。

――dTVからリクエストのあった作品を思ったとおりに獲得できるものなのでしょうか。

大山 
それぞれの作品の製作委員会の判断をいただきながらです。現在は常時300タイトル以上。これは編成と調達の意図をクリアしていると思っています。



■ 定額制配信のコンペティターは、共に盛り上げる存在

――編成、調達で苦労する部分はどういったところですか。

大山
アニメタイムズは2015年3月4日に設立し、以降dTVのアニメ調達をしています。SVOD(Subscription Video On Demand)と呼ばれる定額制配信事業は、競争相手も非常に多くなってきています。
当然、魅力あるコンテンツは争奪戦になります。独占配信タイトルも増える中で我々がどう対応していくのか。コンテンツホルダーの考え方とコンペティターの戦略との兼ね合いでどれだけ独自性のある強いラインナップにできるのかは常に考えています。

――dTVとアニメタイムズの協力体制で、それぞれのメリットはどこにありますか。

森下 
dTVからは安定的なコンテンツ供給です。出版社の方との距離感もグッと縮まりました。これが僕らにしかできない独占コンテンツなどに繋がっています。

大山 
アニメタイムズにとっては、日本最大の定額配信サービスdTVの窓口を担う事が最大の強みです。dTVに魅力を感じてくださるコンテンツホルダーは非常に多いと思います。

――アニメという点で、dTV の強みはどこにありますか?

森下 
過去の蓄積を活かした視聴データ、お客さまに喜ばれるコンテンツ選び、またdTVの特徴の一つであるザッピングUIで、お客さまにとって未知で新鮮なアニメ作品のレコメンドが出来る事を強みにしています。またdTVでは、『テラフォーマーズ』の実写映画化に伴って前日譚となるオリジナルドラマを作っています。そのドラマを見たお客さまがその後のストーリーも知りたいと思い、dTVで配信中のアニメ『テラフォーマーズ』を見たりする。このように総合的なサービスを通してたくさんの方がアニメを好きになってくださるといいなあと思います。この総合力はdTVの売りであると思っています。

――定額配信の他の業者をどのように捉えられていますか?

森下 
よく聞かれるのですが、競合やライバルという認識はあまり持っていないんです。配信という新しいメディアですし、「より多くの人たちにコンテンツを楽しんでもらう」ことが市場を盛り上げる重要な要素だと思っています。多くのサービスが出ることで注目される市場になれば、一般の方にもより浸透していくはずです。各社が力を合わせて環境作りを進めて行くことが大事です。

■ より拓かれた市場のために

――いわゆる違法配信はビジネスに影響はないのでしょうか?

森下 
違法配信の対応も重要ですが、僕らが安心して楽しんでもらえる環境であることをいかに知ってもらうのかが大事かなと思います。ネットの普及によってコンテンツの倫理含め、表現が自由になっていく中でdTVは安心して選んでいただけるサービスですから。
――今、アニメタイムズはアグリゲート機能の窓口を国内に限っているということですが、今後海外にも拡大していく可能性はあるのでしょうか。

大山 
海外はまた別の窓口になっていますし、私たちがそれに乗り出すとしたらそれなりの準備が必要です。ただ、NetflixやAmazonなどはワールドワイドで取引をしています。すでに海外作品と国内配信の境界はシームレスなので、こうした動きは今後より加速していくんじゃないかと思います。

――配信の普及もあり、盛り上がりを見せているアニメ業界ですが、大山さんからご覧になった課題はありますか?

大山 
アニメビジネス自体が転換期に来ていると思っています。これまではパッケージ販売で8割9割を回収するビジネスモデルがアニメ業界の中心でしたが、ここ数年、それこそ配信というセグメントでビジネスができるようになってきています。海外も元気になってきていますし、ライブなども活性化しています。作品がマッチしていればパッケージだけではなくいろんな展開の中で最大化を図っていけるという面白い状況かなと思っています。


――ありがとうございます。今後の展開を含めた意気込みなどをうかがえればと思います。

森下 
こういったサービスは使っていただけると便利さが伝わると思います。より多くの人に知ってもらい、新しいメディアを楽しんでもらい、コンテンツ業界や配信市場の盛り上げに貢献していきたいです。

大山 
総合チャンネルの中にあるアニメのお客さまのニーズに満足してもらえるような質と量、バランスの取れたラインナップをやっていきたいですね。また、アニメ『暗殺教室 第2期 課外授業編』のような独占コンテンツのように、訪れて使ってくれるお客さまが驚き楽しんでもらえるようなコンテンツをこれからも提供していきたいなと思っています。



dTV
https://dtv.jp/
《細川洋平》
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