「GAMBA ガンバと仲間たち」CGワークショップ開催 “壮大な制作”を解き明かす

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左から、河村友宏監督、小森啓裕監督、CGテクニカル・スーパーバイザー 初鹿雄太
  • 左から、河村友宏監督、小森啓裕監督、CGテクニカル・スーパーバイザー 初鹿雄太
  • 左から、「アニメ!アニメ!」編集長 数土直志、河村友宏監督、小森啓裕監督、CGテクニカル・スーパーバイザー 初鹿雄太
  • 左から、河村友宏監督、小森啓裕監督、CGテクニカル・スーパーバイザー 初鹿雄太
映画祭「東京アニメアワードフェスティバル2016」(TAAF)は3月18日から21日までの四日間、TOHOシネマズ日本橋にて開催された。3月19日には映画『GAMBA ガンバと仲間たち』のメイキングワークショップが開催された。
本編上映後には製作を手がけた白組から、小森啓裕監督、河村友宏監督、CGテクニカル・スーパーバイザーの初鹿雄太が登壇。モデレーターは「アニメ!アニメ!」編集長の数土直志が務め、本作の制作秘話を解き明かした。

『GAMBA ガンバと仲間たち』は企画開始から映画公開まで10年の期間(実質のアニメーション制作期間は2年半)を費やした3DCG劇場アニメである。河村監督は「すべてが手探りの状況で、壮大な自主制作をずっと続けていた感じでした」と制作を振り返った。本作は監督二人体制というスタイルを採用し、小森監督と河村監督がお互いにブラッシュアップしながら映画を作り上げていった。
当初は作品に賭ける想いの強さから衝突することもあったが、月日を重ねていくうちにキャラクターのイメージが固まり、見解の相違は自然となくなっていった。「このキャラはこういう風に動く」という土台ができたことで、制作をスムーズに進められたようだ。

CG技術全般の指針を作った初鹿もシナリオやコンテのアイデア出しに参加している。CGで表現するのが難しい場面では変更案を相談するなど、各セクションが積極的に動いていった。
その中で最も力を注いだのは、キャラクター表現と、「荒れた海の広大さ」をどう描くのかということだった。小森監督は「海の激しい表現が成立しないとガンバとノロイの戦いが盛り上がらない」、河村監督は「水に演技をしてもらわないと困る。飛沫までカッコ良く見せたかった」と、そのこだわりと重要性を語った。
だが海を描くためだけにソフトウェアを開発するのは難しかった。小森監督は「市販のソフトや新しい技術をどれだけ取り込めるか。他の人の力を借りることが重要になる」と話す。ソフトの開発者と直接掛け合うため海外に飛ぶなど、実制作以外のエピソードも披露された。それらの苦労を経て実現した海の荒波やネズミの群衆といった見せ場は、いずれも制作のラスト1年で作られたものだ。10年で大きな課題となっていたこれらのシーンが仕上げられたことで、作品の臨場感の底上げに大きく貢献している。

ワークショップの中盤からはスクリーンに様々な資料を映しながら進行した。キャラクター原案では映画版よりも動物寄りの“リアル”なガンバたちが登場。CGモデルをもとにしたフィギュアを作ることで、それぞれの魅力を掴んでいった。
さらに本編でイタチたちが見せたダンスは、スタッフのモーションキャプチャー(その他は基本手付けアニメーション)だったことも明かされ、会場から驚きの声が漏れた。

質疑応答コーナーでは次々に手が挙がる中、小さな男の子から「ノロイの体はどうして真っ白なんですか?」と素朴な質問が飛びだした。河村監督は原作でも白イタチという設定だったと語りながら「男性にも女性にも見える妖艶な感じを出したかった」と説明。小森監督も「ノロイは怖いだけでなく美しさもキーワードになっているので、黄色い月をバックに神々しく映えるようにしたかった」と伝えた。
またノロイのフィギュアを見た原作者の斎藤惇夫から「自分のイメージにすごく近いです」とお墨付きをもらったことは、制作への自信に繋がったそうだ。重要キャラクターゆえにスタッフの解説にも熱がこもってしまい、質問した男の子は少しキョトンとした様子に。河村監督は「ゴメンね。ちょっと難しすぎたよね」と微笑んで、観客の笑いを誘った。

最後は三人の口から「お客さんから嬉しい反応を頂けることが多かったので、もっと多くの人に見てもらいたいし、海外でも上映がしたい」「今回学んだ技術を次へ活かしていきたい」と意欲的なコメントが飛び出した。白組が今度はどのようなチャレンジを見せるのか。その期待が膨らむワークショップとなった。
[高橋克則]

東京アニメアワードフェスティバル2016
会期: 2016年3月18日(金)~21日(月・祝)
会場: TOHOシネマズ 日本橋
《高橋克則》

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