10月23日に開幕した第27回東京国際映画祭が「庵野秀明の世界」と題した特集上映企画を行っている。映画監督の庵野秀明さんのこれまでの仕事を一望するものである。期間中は庵野監督は自ら出演し、5回にわたりトークをする。10月24日にはTOHOシネマズ日本橋にてその第1回「アマチュア・庵野秀明」を開催した。庵野監督の高校時代の自主制作アニメから映画制作集団DAICON FILM時代の作品まで、バラエティ豊かなラインナップが上映された。いわば庵野監督の原点にあたる作品群だ。上映後には庵野秀明監督とアニメ・特撮研究家の氷川竜介さんによるトークショーが開催された。観客と一緒に作品を観ていた庵野監督は開口一番「恥ずかしくて帰りたいです」とファンを笑わせた。「高校の頃から何も変わってないですね。好きなものは、メカ、爆発、女の子」と自作を振り返り、「でも繰り返し作っていると良くなっていくんだな。というのは分かりました。自分でも上手くなっていると思います」と懐かしそうに語った。今回の上映作は『宇宙戦艦ヤマト』や『ウルトラマン』など、庵野監督が多大な影響を受けた作品へのパロディが多数詰め込まれている。制作当時は資料が少なく、もちろんビデオも存在していなかったため、目だけで映像を覚えて再現していたと話すと、その抜群の記憶力に氷川さんが舌を巻く一幕も見られた。アマチュア時代の作品については、カラータイマーだけを着けて自ら演じた自主制作版『ウルトラマン』などに触れて「記号に落とし込むのが上手かったんだなと感じました」と語った。「ウルトラマンはカラータイマー、仮面ライダーはベルト、ガンダムは角。1点だけでそのキャラクターだと分かる。これはオリジナルのキャラクターが持っている素晴らしさだと思います」と愛する作品たちへ敬意を示した。「DAICON IV」のオープニングアニメにトークが移ると「アニメーターとしての僕の仕事の最高峰」とコメント。「技術的には『王立宇宙軍』の方が上だと思うが、トータルでは自分のアニメで一番上手くいっている」と自身も満足のいく仕事だったようだ。トークでは後にガイナックスを設立する山賀博之さんや赤井孝美さんたちとのエピソードも多数飛び出した。そして今回のラインナップを通して観て「自分一人では全然ダメだったんだなと思いました。仲間たちができて複数人でやりはじめてから格段に違っている。僕は色々な人と仕事をした方が、作品も面白いものになるのだなと改めて実感しました」と感想を語った。多くの人や作品から刺激を受けて作られるアニメーションの魅力を再確認できる貴重な一夜となった。[高橋克則]「庵野秀明の世界」http://2014.tiff-jp.net/news/ja/?p=25603第27回東京国際映画祭http://www.tiff-jp.net/ja/開催期間: 2014年10月23日(木)~10月31日(金)
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